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鷹のゴールデンルーキー・田中正義の苦悩

結果が求められるチームの中で


 昨季は最大11.5ゲームの差をひっくり返され、3連覇を逃したソフトバンク。雪辱に燃える今季、大きな期待を受けてチームに加わったのが田中正義だ。

 創価大からドラフト1位で入団。昨秋の超目玉であった男には計6球団が獲得を希望したが、工藤公康監督が見事に当たりを引き当てた。


 田中が一躍脚光を浴びたのが、3年時にユニバーシアード代表としてNPB選抜と戦った壮行試合。NPB選抜と言っても同年代の多い若手主体のチームであったとは言え、プロを相手に7連続三振を奪うなど圧巻の投球を披露。「すぐにでも通用する!」と関係者を唸らせた。

 勝負の4年に入って肩の不安を露呈するも、そのNo.1の評価は揺るがず。メジャー挑戦希望もあった中、その思いは封印して挑むプロ1年目。男は「200イニング」と「160キロ超え」を目標に掲げる。


「完璧」を求めるあまり...


 しかし、田中はここに来て壁にぶつかっているようだ。

 なんでも変化球を投げる際、腕の振りが緩んでしまうクセがあるのだという。「投げれば投げるほど、足りないものが分かってきた」と話した右腕は、「現実はかなり厳しいと思った。このままだったらマウンドに立つ状況にはないと思う。いざやってみると通用しない可能性は高い」と弱気な言葉を口にする。

 いきなりのメジャー挑戦も視野に入れていた点や、彼が自分自身に課す目標の高さからして、田中が大いなる野望を持つことは容易に想像がつく。それに相応しい実績を残してきたことも事実であり、それがソフトバンク入団を引き寄せたことも疑いの余地はない。

 きっと周囲の必要以上の期待も耳に届いていることだろう。ただ、理想と現実のギャップに心身を蝕まれ、無用な時間を過ごすことがないよう、最大限の危機管理を願ってやまない。「完璧」を求めすぎることで挫折を味わい、選手生命に終止符を打った選手がごまんといることを忘れては欲しくはない。


焦りは禁物!


 学生時代から苦労も経験してきている田中なだけに、「完璧主義」の言葉が当てはまるかどうかは分からないが、とにかく焦りは禁物だ。

 結果のみならずプロセスにフォーカスし、失敗を受け入れて自己受容していくことで肩の力が抜け、本来の姿を取り戻せることもある。時には弱音を吐き、誰かに頼り、自分自身の弱さを受け入れる中で、自身の描く目標に向かって一歩一歩進んでいって欲しい。

 その一方で、サッカー日本代表の本田圭佑を筆頭に、敢えて自分自身に強いプレッシャーをかけて乗り越えていく人間も一部存在することは事実だ。

 一寸先は闇とも言えるプロの世界...。正しい答えなどあるようで無いのだろうが、田中が着実にステップアップしていく為のベストな心の整え方を見出してくれることを祈っている。
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