外様組から生え抜きへ方向転換
2月1日に始まった春季キャンプも中盤から終盤に差し掛かり実戦練習が増えてきた。各球団ともに熾烈なレギュラー争いが繰り広げられている。そのなかで、阪神の捕手争いに目を向けると横一戦の様相だ。
97年オフにトレードで加入した矢野燿大が長年正捕手を務めて以降、09年オフに入団した城島健司、10年オフにFAで藤井彰人、12年オフにFAで日高剛、13年オフにDeNAにFA移籍した久保康友の人的補償で鶴岡一成と、多くの外様捕手を獲得してきた阪神。ここ数年は自前での正捕手育成に励んでいる。
昨季もスタメンマスクは原口文仁(68試合)、梅野隆太郎(29試合)、岡崎太一(24試合)、坂本誠志郎(18試合)、清水誉(2試合)、鶴岡一成(2試合)となっており鶴岡を除き全員生え抜きだった。シーズンオフに清水、鶴岡の2名が退団。今季は捕手全員が生え抜きとなった。これは実に1996年以来21年ぶりのことだ。
今キャンプ中に金本知憲監督も正捕手を明言しておらず原口文仁、梅野隆太郎、坂本誠志郎、岡崎太一らが日々、アピールを続けている。
原口、坂本、岡崎、梅野と候補は4人
昨季4月下旬に育成から支配下登録され5月に月間MVPを獲得。オールスターにまで出場した原口。チーム事情もあり一塁を守る機会もあったが秋季キャンプで「捕手一本」を宣言。今シーズンは一塁ではなくあくまで『打てる捕手』として捕手での勝負を行うつもりだ。19日の練習試合では一塁を守っていたものの2安打をマーク。金本監督へアピールした。
昨季開幕スタメンマスクをかぶった岡崎はキャリア最多の38試合に出場。7月に骨折し戦線離脱したが、今シーズンも虎視眈々とレギュラーを狙っている。1983年生まれの33歳と捕手陣の中では最年長。経験を活かし二番手捕手ではなく2年連続の開幕マスクを目指す。
2年目となる坂本は昨季28試合に出場。デビュー戦では能見篤史とバッテリーを組み3回途中で屈辱の交代となった。しかし、能見と2回目のバッテリーを組んだ8月には7回途中1失点と勝利に導き成長を見せた。大学時代は明治大学、日本代表で主将を務めた男がキャプテンシーを持って、2年目の今季はレギュラー奪取を狙う。
4年目となる梅野も負けてはいない。1年目こそ92試合に出場し7本塁打とレギュラー奪取まであと一歩までに迫った。2015年(56試合)、2016年(37試合)と出場試合数を落としているが、今キャンプでは強肩をアピールしている。キャンプ中盤に行われたスチール練習では5回、盗塁を企てられて5回阻止するパーフェクトを達成。その後の打撃練習でも柵越えを披露しアピールした。
打撃の原口、成長力の坂本、経験の岡崎、強肩の梅野、矢野コーチも思案のしどころだ。3月31日に行われる開幕戦でスタメンマスクを任されるのは誰になるのだろうか。阪神の捕手争いに注目したい。