◆ 1948年を最後に世界一なし
昨シーズンはシカゴ・カブスが108年ぶりの世界一に輝き、「ヤギの呪い」を解き、日本でも話題になった。そのカブスにワールドシリーズで惜敗したのがクリーブランド・インディアンスだ。
カブスが優勝したことで、インディアンスが前回の世界一から最も遠ざかるチームとなった。最後にワールドシリーズを制覇したのは戦後間もない1948年。今季は69年ぶりの戴冠を狙っている。
インディアンスといえば、1960年代から長い低迷期に陥り、1960年から93年の34年間は、地区優勝は一度もなく、シーズン勝ち越しは僅かに6度だけ。弱小球団の象徴として映画にも取り上げられたほどだ。
しかしその後は、1995年から地区5連覇を達成するなど、強豪チームの仲間入りを果たした。2000年以降は低迷した時期もあったが、ここ4年間はいずれもシーズン勝ち越しを果たし、昨季は世界一にあと一歩のところまで上り詰めた。1990年代後半はアルバート・ベル、マニー・ラミレス、ジム・トーミなどが並ぶ強力打線が売りだったが、現在は投打にバランスの取れた好チームになっている。
◆ 今季のインディアンスは?
昨季の得点数はリーグ5位、失点数は同7位といずれも上位につけた。このオフは、昨季の盗塁王に輝いたラージェイ・デービスと34本塁打、101打点をマークしたマイク・ナポリが抜けたが、代わりに42本塁打、127打点を記録したエドウィン・エンカーナシオンの獲得に成功。昨季11試合の出場に終わった外野手のマイケル・ブラントリーがケガから復活すれば、昨季以上の打線も見込める。
一方で投手陣は昨シーズン後半に若干の不安をのぞかせた。チーム防御率はオールスター前の3.65に対し、後半戦は4.11に悪化。特に先発陣はスタミナ不足が露呈した。今季はローテーションの厚みを増すことができるかどうかがカギになるだろう。
◆ WS敗退チームの翌年は?
狙うは69年ぶりの世界一のみだが、前年にワールドシリーズで敗退したチームは翌年にどのような成績を残してきたのだろうか。
2009年のフィラデルフィア・フィリーズ以降、ワールドシリーズで敗退したチームは7年連続で再びプレーオフの舞台に戻ってきている(5チームが地区優勝、2チームはワイルドカード)。
しかしワールドシリーズの舞台に立てたのは2011年のテキサス・レンジャーズと15年のカンザスシティ・ロイヤルズの2チームだけだ。11年のレンジャーズは再び大舞台で敗れたが、ロイヤルズは見事に前年の雪辱を果たした。ロイヤルズの前はというと、1988~89年のオークランド・アスレチックスまでさかのぼらないといけない。
2年連続でア・リーグを制することは容易いことではないが、昨季のア・リーグ最優秀監督にも選ばれたテリー・フランコナ監督ならクリーブランドに69年ぶりの歓喜をもたらすことも十分考えられる。
文=八木遊(やぎ・ゆう)