重要になる2番手投手
侍ジャパンは『第4回ワールドベースボールクラシック』(WBC)の初戦のキューバ戦まで残り3日となった。
ここでは、先発の後を受けて登板する2番手の投手に注目したい。WBCでは球数制限が導入されており、普段の公式戦とは異なり、先発投手が長いイニング登板することが難しい。そこで重要になってくるのが2番手投手の役割だ。
侍ジャパンでは過去2大会、“第2先発”を置き、チームでは先発を務める投手が同大会ではリリーフを担当。先発の球数制限が1次ラウンド、2次ラウンドに比べて増えた準決勝・決勝では、2番手の投手が本職のリリーフがマウンドにあがるというケースもあった。
過去3大会の2番手投手はどういったタイプの投手が任されていたのだろうか…。
第1回大会は清水と薮田が最多
第1回大会は、先発タイプの清水直行とリリーフタイプの薮田安彦が2試合で、最も多く2番手で登板した。
清水は第1ラウンドの中国戦で、7点リードの6回に先発した上原浩治の後を受けてマウンドへ。6回からの3イニングを33球、0安打、5奪三振、無失点の好リリーフ。セーブを記録した。
薮田は第1ラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦こそ5回からマウンドにあがったが、先発の球数制限が95球となった準決勝の韓国戦では8回からの1イニングを無失点に抑えた。
その他、杉内俊哉、和田毅、渡辺俊介はロングリリーフをこなし、中継ぎを専門にする藤田宗一は第1ラウンドの韓国戦、試合序盤のピンチにワンポイントで登板している。
【2006年】
清水直行(2試合)
2試 0勝0敗1S 4回1/3 責2 防4.19
薮田安彦(2試合)
2試 0勝0敗 2回 責0 防0.00
杉内俊哉(1試合)
1試 0勝1敗 1回1/3 責2 防13.84
藤田宗一(1試合)
1試 0勝0敗 0回1/3 責0 防0.00
和田 毅(1試合)
1試 0勝0敗 2回 責0 防0.00
渡辺俊介(1試合)
1試 0勝0敗 3回 責2 防6.00
▼球数制限(先発)
第1R 65球
第2R 80球
準決勝・決勝 95球
▼登板間隔
50球以上:中4日
30球以上50球未満:中1日
30球未満で連投:中1日
第2回大会は杉内がパーフェクト投球
大会2連覇を達成した第2回大会は、杉内俊哉が9試合中4試合に2番手で登板した。
杉内は第1ラウンドからフル回転。第1ラウンドGame6の韓国戦、1点を追う6回途中からマウンドにあがると、0回2/3を無失点。第2ラウンドGame5のキューバ戦では、7回からの3イニングをパーフェクトリリーフし、セーブを挙げた。
さらに中3日空けて準決勝のアメリカ戦、決勝の韓国戦では、普段先発を務めながら連投を経験した。この大会で杉内は、打たれたヒットは0と完璧なリリーフを見せ、世界一の立役者となった。
【2009年】
杉内俊哉(4試合)
4試 0勝0敗1S 5回1/3 責0 防0.00
岩隈久志(1試合)
2試 0勝0敗 1回 責0 防0.00
小松 聖(1試合)
1試 0勝0敗 2回2/3 責0 防0.00
山口鉄也(1試合)
1試 0勝0敗 0回2/3 責0 防0.00
涌井秀章(1試合)
1試 0勝0敗 2回 責0 防0.00
渡辺俊介(1試合)
1試 0勝0敗 1回 責0 防0.00
▼球数制限(先発)
第1R 70球
第2R 85球
準決勝・決勝 100球
▼登板間隔
50球以上:中4日
30球以上50球未満:中1日
30球未満で連投:中1日
第3回大会は全試合先発が2番手
第3回大会は、内海哲也が2番手でチームトップの2試合に登板した。
過去2大会は“第2先発”と呼ばれる先発と、ピンチの場面に2番手で登板するリリーフに役回りが分かれていたが、第3回大会は2番手で登板した投手は、前年に先発した投手が務めた。
そのため、田中、能見篤史、杉内、摂津正といった当時各球団のエースも、2番手でマウンドにあがっている。
【2013年】
内海哲也(2試合)
2試 0勝0敗 2回1/3 責4 防15.65
沢村拓一(1試合)
1試 0勝0敗 1回 責0 防0.00
杉内俊哉(1試合)
1試 0勝0敗 2回 責1 防4.50
摂津 正(1試合)
1試 0勝0敗 2回 責1 防4.50
田中将大(1試合)
1試 0勝0敗 2回 責1 防4.50
能見篤史(1試合)
1試 0勝0敗 1回 責0 防0.00
▼球数制限(先発)
第1R 65球
第2R 70球
準決勝・決勝 95球
▼登板間隔
50球以上:中4日
30球以上50球未満:中1日
30球未満で連投:中1日
今大会、小久保監督は第2先発を採用しないと言及する。先発投手の球数が制限されていることもあり、2番手以降の投手が非常に重要になってくる。第2回大会で活躍した杉内のような投手が出てくるだろうか。