侍の4番はやはり頼れる男だった。これぞ4番の一撃。終盤の一発でとどめを刺した。

　第4回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）で2大会ぶりの世界一奪還を目指す侍ジャパンは初戦でキューバと対戦。11－6で乱打戦を制した。

　初回、1、2番の山田、菊池が簡単に打ち取られるも、3番・青木がチャンスメーク。そこで4番・筒香。2ボール1ストライクから4球目、詰まりながらも内角低めのスライダーを右翼線へ運んだ。二走の青木が生還。貴重な先制点をもぎ取った筒香は「1回表の菊池さんのプレーや、青木さんのバッティングが作ってくれた流れに乗って打つことができました」と謙虚に語った。

　さらに、5回のビッグイニングで6点差とし、勝負をつけたかと思われた侍ジャパン。ところが、7回表、2番手の則本がキューバ打線につかまり3失点。3点差に詰め寄られた。

　楽勝ムードから一転、不穏な空気が流れる中、頼れる侍の4番がそれを一振りでかき消した。直後の7回裏、二死一塁で打席に入った筒香の打球はライトスタンドに一直線。追い上げられた直後、指揮官も「ここで1本打ってほしいところだった」と振り返る場面での2ランで9－4とリードを広げた。

　「筒香は不動の4番」と話す指揮官の起用に応えた。「つなぐというよりも、いけると思った球は強く打っていこうと思って打席に立った」と振り返る。

　特大アーチも筒香にとっては「良くなかった」と不満げ。しかし、「試合に入ったら調子良い、悪いは関係ない。結果が全て」。自身の打球には満足していないが、「チームに点が入って良かった」と及第点を与えた。

　「打ってほしいところで打てる選手」。筒香の“理想の4番像”だ。まさにこの日、筒香は“理想の4番”を体現した。

　「きょうは終わった。またあした勝てるように」。余韻に浸る暇はない。世界の頂点へ、一心不乱に進んで行く。