白星発進の中の課題
侍ジャパンの世界一奪還をめざす戦いが、ついに始まった。
7日に行われた初戦。グループ最大のライバルと目されるキューバとの対戦は、11-6で勝利。結果的には打ち勝って白星スタートを決めたものの、終盤に相手の猛攻を受けたリリーフ陣には不安の残る内容となってしまった。
“初戦”というプレッシャーも当然あっただろう。また、事前の実戦でこれといった起用パターンのようなものを作ることができなかったことも要因として挙げられる。しかし、その責任が全て投手陣にあるかといえば、そうではないだろう。
第1回優勝捕手からの苦言
テレビやラジオの中継で気になったのが、捕手・小林誠司の配球を指摘する声だった。
たとえば、ニッポン放送『ショウアップナイター』での里崎智也氏。2006年の第1回大会では正捕手としてチームを世界一に導き、大会ベストナインにも選出された経験を持つ男は、「もうちょっと考えないと」とリードに苦言を呈した。
問題の場面は4回表、一死二塁の場面。サーベドラのセンター頭上を襲った打球を、青木宣親が決死の背走でスーパーキャッチ。会場は大いに沸いたが、里崎氏は冷静に指摘する。
「ずっとストレートに完全に振り遅れているのに、スライダーを投げてドンピシャ。青木の守備に助けられましたけど、リードとしては不正解」とバッサリ。「試合終盤はもうちょっと考えないといけませんね」と警鐘を鳴らした。
たしかに事前の実戦から、日本の投手の球速に驚くようなリアクションを見せていたキューバ打線。せっかく速球で追い込んだにも関わらず、甘く入った変化球を痛打されるというシーンが序盤から散見されたため、このような厳しい言葉に繋がったのだった。
“代表正捕手”への道
また、開幕前から不安視されていたのが落ちるボールへの対応だ。
事の発端は昨年秋の強化試合。マスクをかぶった小林は、千賀滉大の“おばけフォーク”と評される落差の大きなフォークに苦しみ、何度もポロポロ。試合には勝利したものの、テレビ中継で解説していた古田敦也氏に「捕り方がよくない」と苦言を呈された。
今大会の直前にも、かつての名捕手・野村克也氏からフォークへの対応に関しての“悪癖”を指摘されていたが、昨日の試合ではフォークを要求する場面そのものが減少。特にフォークを武器としている平野佳寿が苦しい投球を見せたこともあって、Jsportsで解説を担当した薮田安彦氏も「なんでフォーク投げないんですかね」と疑問を口にしている。
さらに最終回にも、投球テンポの良さがウリの牧田和久となかなか呼吸が合わず、持ち味を消してしまう場面が見受けられるなど、勝利のなかにも目につくシーンというのが多かったように思う。
バットの方では2安打に犠打1つ、犠飛も1つと存在感を発揮しただけに、どうか守りの部分の改善を。初のWBC、日の丸の重圧、慣れない投手とのコミュニケーション...これら全ての課題をはねのけ、日本を代表する捕手へと成長していってもらいたい。