ベールに包まれた男
キューバとの初戦で勝利を収めた侍ジャパン。連勝をかけて8日の第2戦で戦うのが、オーストラリア代表だ。
両チームの予告先発も発表されており、日本はエースの菅野智之で必勝体制。対するオーストラリアは右腕のティム・アサートンを立てる。
アサートンという投手は、来日後に行われた2試合の強化試合(4日・阪神戦、6日・オリックス戦)で唯一登板がなかった投手。本番まで間隔が短いということもあっただろうが、手の内を隠しておいたとも言えそうだ。
今回はそんなアサートンも含めたオーストラリアの実力を探っていきたい。
速球派の2人に要注意
まずは先発のアサートンから。27歳、右投右打は菅野と一緒。188センチ・101キロの大柄な体格から角度のある球を投げ込んでいく投手で、7日に対戦した中ではライデル・マルティネスに似たタイプと言える。
メジャー経験はないが、2011年から2015年まではマイナーでプレー。最終年の2Aでの成績は15試合で5勝4敗、防御率4.96。78回を投げて奪三振率6.69と、さほど三振を奪えるタイプでなければ、与四球率も3.58と制球力も平凡だった。
昨季はオーストラリアリーグに戻り、中継ぎとして16試合に登板。3勝負けなし、防御率1.37という好成績を残している。
他の投手を見ると、軟投派が多いオーストラリア。速球派と呼べるのは、4日の阪神戦で1回を1安打無失点に抑えたL・ウェルズと、6日の試合で先発したソーポルド、同試合で1回を無失点に抑えたモイラン、そして最速153キロを計測したバンスティーンセルの4人くらいだろう。
中でもモイランは日本が苦手としているツーシームをサイドハンドから投じる選手で、どんどんインコースを攻めていく投球が光った。2016年はロイヤルズで50試合投げて防御率3.43と実力も十分。相手のペースに乗せてしまうと、手を焼く可能性がある。
また、6日の試合で奪った合計12個のゴロアウトのうち、バンスティーンセルは3つのアウトすべてをゴロで記録している。この2人は“要注意投手”と言えそうだ。
球数制限のある国際試合では、継投が必須。その中でこうした速球派と軟投派を交互に繰り出されると、緩急の差で幻惑されてしまう恐れもある。この部分をいかに攻略していくかが、勝利のカギになってくる。
“因縁の対決”?
一方の打線はどうかというと、投手陣よりも怖さはない。
かつてヤクルトに在籍したミッチ・デニングが4番を務めているが、NPBでの成績は64試合で打率.222、4本塁打。ここ一番で光る活躍はあったが、それが継続することはなかった。
ただし、日本の先発・菅野とは“因縁”がある。2015年8月6日、神宮球場で行われたヤクルト-巨人の一戦。2-3と1点を追うヤクルトは、一死一塁でデニングが打席へ。三塁をがら空きにしたシフトに注目が集まる中、打球はその遥か頭上を超えてバックスクリーンへ。値千金の逆転2ランで、チームを勝利に導いた。
そんな菅野とデニングの“再戦”が東京ドームで実現。見逃せない戦いになる。
【試合予定】
▼ WBC2017 1次ラウンド・プールB
日本(菅野智之)- オーストラリア(アサートン)
<東京ドーム 19時>