短期決戦は小さなピース一つ一つが大切
大金星の陰に知将あり。“大番狂わせ”は偶然ではなかった。イスラエルは勝つべくして勝った。
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で韓国や、前回4強のオランダを破り、1次ラウンドA組を1位通過したイスラエル。その快進撃の要因を指揮官が明かした。
イスラエルを率いるのは、御年73歳のジェリー・ウェインスタイン監督。メジャーでの監督経験はないが、大学野球など、アマチュア野球やマイナーなど指導者として50年以上活躍してきた。
「1次ラウンドでは、タイムリーを打った。守備、投手も良かった」とここまでの快進撃を振り返り、「有名な選手はいないが、投手の層が厚いことが強み。タイプの違う投手が多いので、打ちにくい」と明かした。
指導者として2度の五輪を経験。短期決戦での戦い方は心得ている。
「(短期決戦は)より細かいところに気を付けなければいけない。長いシーズンと違って、クローザーを時には5、6回に投入しなければいけないこともある。150、160試合のシ-ズンを例えるなら、長いトンネル。しかし、このような短期決戦は、ブルペンのでき1つでも状況は変わる。大きな理想像を掲げる上で、小さなピース一つひとつ、投手が投じる球、一球一球が非常に重要になってくる」。
継投策については「正しい状況で正しいマッチアップをしようと思っている。高いレバレッジがかかるところにはベストな投手を持っていく。常に、敗戦の可能性をミニマイズしている」と話した。
実力は僅差。どのチームがスコアボードにより多くの得点を重ねるかだけ
この日、唯一のイスラエル出身の右腕リペツが登録を外れ、28人全員がメジャーやマイナーに所属するユダヤ系米国人となったイスラエル代表。「確かに、アメリカでプレーしている選手や、指導しているコーチが多いが、私たちはイスラエルの国民の期待を背負ってプレーしている。それは日本、オランダ、キューバなど、他の参加国と変わりはない」と言い切った。
激戦が予想される2次ラウンド。「2次ラウンドの4チームの実力は僅差。なので、どこが強い、どこが弱い、どういう差があるということは超越している。私たちが本当に注目することは、どのチームがスコアボードにより多くの得点を重ねるかだけだ。それはイスラエル代表全員が同じ気持ち」と指揮官は語った。
前回のWBCは予選(2012年に開催)で敗退…しかし、この5年で強くなった。元レッズのベテラン右腕マーキーは話す。「2012年の敗戦から学んだ」と。
世界ランキングは出場チーム最低の41位だが、多くの視線は今、イスラエルに注がれている。予選から勝ち上がってきたチームは、名将の元で快進撃を続けていく。