キューバ式の野球教室
3月12日(日)、『ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA』の1周年記念イベントとして、元ロッテで現在新日鐵住金かずさマジックの選手兼任コーチを務める“ミスターサブマリン”こと渡辺俊介さんの野球のレッスンが開催された。
小学生から大人まで幅広く集まった野球レッスンは、大いに盛り上がった。渡辺さんは国内だけでなく、海外でもプレーした経験があり、この日の野球レッスンでは“キューバ式”で行われた。
キューバ式の練習方法について「キューバの人って途中で飽きて帰っちゃうんですよ。だからボール投げるところから始めるんですよ」と明かし、準備体操後、小学生、大人の野球レッスンはともに手首からボールを地面に叩きつける練習から始まった。
キャッチボールでも、足をあげず、上半身の動きだけでキャッチボールを行うなど、海外でのプレー経験がある渡辺さんならではのレッスンとなった。
渡辺さん「きっかけになってくれれば」
小学生から中学生までを対象にした野球レッスンでは、野球未経験者の子供たちも多く参加。渡辺さんは子供たちに「何を習いたい?」と質問し、子供たちの意見をもとに、ボールの投げ方、ゴロ捕球、ピッチング練習を丁寧に指導した。
その中でも、印象的だったのがボールを鉄球にイメージして投げる練習だ。重たい鉄球をイメージすることで、自然と肩の近くでボールを離して投げられるようになり、コントロールが身につくという。子供たちも、鉄球をイメージしながら恐る恐る投げていた。
渡辺さんは「何を望んでいるか聞きながらやれたので、少人数でやれたのはよかったかな。初めてキャッチボールするきっかけになってくれれば嬉しいです」と振り返った。
アンダースロー講習も
大人向けの野球レッスンでは、「せっかくなのでアンダースローもやりますか?」と渡辺さんの声掛けでアンダースローの講習も行われた。
小中学生向けには体によくないとのことで行われなかったが、大人向けのレッスンでは、“ミスターサブマリン”・渡辺さんの指導のもと、受講者たちはアンダースローに挑戦。
内野手のスナップスローからはじめると、片膝をつけた状態で壁に向かってスナップスローの練習を行った。渡辺さんによると、「アンダースローはイップスがなくなる。プロの内野手もイップスを治すために、アンダースローの練習を取り入れていた」という。
また、渡辺さんはアンダースローに転向した理由について「中学校のときにレギュラーではなかった。体が柔らかかったので、父親からアンダースローはどうだと言われて始めました」と明かし、大学時代の恩師・竹田監督に教わってからブレイクのきっかけを掴んだと教えてくれた。
社会人チームで選手兼任コーチ
この日の野球レッスンで、小学生から大人まで幅広く指導した渡辺さんは現在、新日鐵住金かずさマジックの選手兼任コーチとして選手を教える立場にある。
現在はコーチ業をメインにする渡辺さんは、「できるだけ才能をそのまま伸ばせるように。本人の特徴にあったものを教えられるように気をつけてやっています」と選手の個性を伸ばすことを心掛けている。その一方で「本人が気づくように、教えすぎないようにしています」とも話した。
将来は、渡辺さんのような“サブマリン”を育成することも期待される。だが、渡辺さんは「別に(アンダースローを育成したいとかは)ないです。なかなかこれが合うという投手はいないので、最終手段でアンダースローという選択肢があればというところです」と答えた。