勝利呼び込む投球
侍ジャパンのエースが、世界を驚かせた。
第4回ワールド・ベースボール・クラシック・1次ラウンドの第2戦。オーストラリアと対戦した侍ジャパンは4-1で勝利を収め、2連勝で2次ラウンド進出をほぼ確実なものとした。
中田翔と筒香嘉智のアベック弾が目立つ結果となったオーストラリア戦だが、先発した日本のエースの仕事ぶりも間違いなく勝利の要因のひとつだった。
65球という球数制限があるなか、4回1/3を1失点の力投。ライトスタンド最前列に飛び込んだ一発さえなければ、ほぼ完ぺきな内容であった。
“覚悟”を胸に...
「いつもと全然違う雰囲気だった。その中で最低限の仕事はできたとかなと思う」
菅野は試合後、満足感を示した。
小久保裕紀監督から“投手陣の柱”として期待されている男は、大会前の調整時からある言葉を胸に刻んで戦っている。
「覚悟」――。
この言葉を何度も繰り返し、WBCの舞台へとやってきた。巨人のエースから、日本のエースへ...。自身の重責を受け止め、覚悟を決めていると強調してきた。
世界から熱視線
そうして迎えたWBC最初のマウンド。終わってみればしっかりと先発の役目を果たしたかに見えたが、当の本人は意外にも反省の言葉を述べる。
「独特の緊張感だったが、やっぱり5回を投げきらないといけなかった」。
65球という限られた球数で、5回を投げること。菅野はあくまでもストイックに自己分析した。
しかし、敵将は日本のエースに対して称賛の言葉を送る。
オーストラリアを率いるジョン・ディーブル監督は、日本戦後の公式会見で「メジャークラス。日本で一番いい投手だ」と菅野の投球を絶賛。普段はドジャースの環太平洋地区担当スカウトを務めている男にここまで言わしめたのだから、菅野の投球が世界基準にあることは間違いない。
わずか65球で世界から認められた男。14日に迎える2度目のマウンドでも、世界中の視線をクギ付けにすることができるだろうか。