ニュース 2017.03.23. 14:12

母の祖国を相手に一世一代の快投!ストローマンがMVP

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大会MVPに輝いたストローマン

アメリカを優勝に導いた若き右腕


 アメリカの初優勝で幕を閉じた第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。大一番で勝利の立役者となったアメリカ先発のマーカス・ストローマンが、大会MVPに輝いた。

 2次ラウンドのプエルトリコ戦は初回に先頭から6連打を浴びるなど、大乱調で一気の4失点。まったく試合を作ることが出来ずに悔しい思いをしたが、あれから4日空けて迎えた決勝戦では別人のような投球を披露する。

 心配された初回を内野ゴロ3つでかんたんに斬ると、リズムに乗った右腕は150キロ超えの動くボールを軸にプエルトリコ打線をシャットアウト。時折投げるテンポを変えながら相手を幻惑し、凡打の山を築いた。

 気がつけば6回まで68球の無安打投球。7回の先頭打者に安打を許したところで降板となったが、6回0/3を投げて73球、打者19人、被安打1、与四球1の3奪三振、無失点という快投でチームを勝利に導いた。


どちらでも出れた!?決勝戦


 アメリカに栄冠をもたらした右腕だが、実は今回決勝に進んだ2チームの「どちらでも出場することができた」という選手だった。

 というのも、WBCでは自身の国籍や出身のみならず、親の出身地も選択肢のなかに含まれており、母親がプエルトリコ出身のストローマンはプエルトリコ代表として参戦する権利も持っていたのだ。

 もちろん本人もそのことは知っていたが、昨年12月に自身のTwitterにてアメリカ代表としてWBCに参戦することを表明。ツイートには「お母さん、ごめんなさい...」という謝罪の言葉も添えられており、苦渋の決断であったことが見て取れる。


 そんな中で迎えたプエルトリコとの最初の対戦。初回に試合を壊してしまった男には、プエルトリコを応援するファンから「ありがとう」などと皮肉る声も多数寄せられた。

 しかし、最も重要な試合でそんな雑音を振り払うような快投。それでも、派手なガッツポーズなどは一切なく、スタンディングオベーションでマウンドを降りる際にも表情は変わらなかった。アメリカに栄冠をもたらした一世一代の投球、その裏にはそんな複雑な事情があったのだった。

 試合が終わり、歓喜の輪に混じった時、ストローマンの顔にようやく笑みが戻った。笑顔にあどけなさも残る25歳。今回の世界一、そしてMVPという大きな経験を糧に、さらなる輝かしい未来へと歩んでいってもらいたい。


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