近年では珍しい乱闘らしい乱闘が起こった4日の阪神-ヤクルト戦(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 両軍入り乱れての大乱闘
 
 バレンティンの体当たり!矢野燿大コーチは飛び膝蹴りで対抗も、再びバレンティンの体当たりが決まって矢野コーチが吹っ飛んだ。すると、それに怒った金本知憲監督が鬼の形相でバレンティンを睨みつける…。

 これはプロレスの試合ではない。野球の試合である。4日に京セラドーム大阪で行われた阪神-ヤクルト(1回戦)。5回表に6番・畠山和洋を迎えた打席で“事件”は起こった。

 2ボールとなった後、藤浪晋太郎が投じた3球目のストレートが畠山の左肩を直撃。これに激昂した畠山が藤浪を睨みつけながら歩み寄ろうとすると、両チーム入り乱れての乱闘に。そこから前述のような騒ぎとなり、バレンティンと矢野コーチが退場処分。さらに警告試合が宣言された。

◆ 因縁は昨年から…?

 ヤクルトと藤浪には、昨年から浅からぬ因縁があった。

 まず、昨年4月19日の阪神-ヤクルト戦で藤浪から死球を受けた谷内亮太が骨折。全治3カ月の重傷を負った。この時は藤浪が谷内に謝罪し、谷内も「避けられなくて悪かった」と両者が和解。事態は一旦解決した。

 しかし、4日の試合で再び険悪なムードが漂い始める。まず1回表、山田哲人への3球目が左肩にぶつかりかける。さらに続くバレンティンの打席でも、3球目のすっぽ抜けたスライダーが、左肩にぶつかりかけた。

 すると今度は2回裏、ヤクルト先発のブキャナンが投げたツーシームが原口文仁の左肘を直撃。球場に不穏な空気が流れる。

 これだけの“伏線”が張られたなかでの、畠山への死球。それも危険球スレスレの投球とあって、何も起こらないはずがなかった。

◆ 「チームメイトを守るため」

 この日は合計で9つの四死球を与えているように、藤浪は大乱調だった。もちろんヤクルト側もわざと当てたとは思っていないだろう。

 しかし、だからと言って許すことなどできないだろう。昨年死球で離脱を強いられた選手がいるだけになおさらだ。こう何度も当てられたらたまったものではない、という気持ちになるのも仕方がない。

 一方で、阪神も引き下がることはできない。わざと当てているわけではないうえ、同じ試合で原口が死球を食らっている。気落ちするエースを守るためにも、戦う姿勢を見せる必要があったのだ。

 試合後、バレンティンは自身のインスタグラムを更新。「すべてはチームメイトを守るためにやったこと。しかし今日の乱闘について、すべてのファンと子どもたちに謝罪したい」と反省の色を伺わせた。

 一夜明けてほとぼりが冷めていれば良いのだが、5日・6日とまだ試合は残っているだけに、球場は異様な空気に包まれることだろう。ピリついた雰囲気の中での試合で、何も起こらなければいいのだが…。

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