山田哲人,
ヤクルトの山田哲人

 真中監督3年目の今季、ヤクルトの打線に元気がない。

 開幕して9試合、3勝6敗で5位(4月10日時点)と出遅れた。2年ぶりのリーグ制覇を目指し、開幕ダッシュを狙ったが、完全に失敗した。

 昨季も開幕で出遅れ、Bクラスに沈んだ。その最大の要因は、投手の調整不足だった。昨季、開幕当初に先発のローテーションを任されていたのは5投手。小川泰弘、原樹理、成瀬善久、石川雅規、館山昌平だった。今季は、石川、小川、オーレンドルフ、ブキャナン、山中浩史、館山。この6人がローテーション投手。開幕9試合が終了した時点で、各投手の登板成績は…

小 川 0勝2敗 防3.00
石 川 1勝1敗 防3.75
オーレ 0勝0敗 防2.25
ブキャ 1勝0敗 防1.13
山 中 0勝0敗 防1.50
館 山 0勝0敗 防12.00

 昨季に比べ、先発投手の成績が劇的に改善しているのだ。昨季の開幕当初は、チーム防御率がリーグ最低の5点台だったが今季は3.30。小川は自身のサインミスもあったが、DeNA戦は5回2失点、8日の広島戦は7回2失点と好投。打線の援護に恵まれれば勝利を収めていてもおかしくなかった。2人の助っ人投手も期待通り。石川と山中も及第点の投球内容と言えるだろう。

 近年のヤクルトは打線ばかりがクローズアップされがちだが、セ・リーグを制した2015年は投手陣の踏ん張りも大きかった。

 2015年の4月29日までチーム防御率はなんと1.81。開幕から14試合連続で3失点以下を続け、1956年に西鉄が作った13試合を抜くプロ野球記録を打ち立てた。成瀬、石川、小川、杉浦、石山、新垣の先発6人が安定した投球を披露。救援陣も「ロマン - オンドルセク - バーネット」の通称“ROB”が機能し、勝利の方程式が確立していた。

 昨季の開幕ダッシュ失敗は投手陣に因るところが大きいが、今季のヤクルトは、頼みの打線がまったく振るわない。開幕9試合終了時点で、チーム打率は.238。これはリーグ最低のDeNAの.222についで悪いのだ。4月7日の広島戦は慶大卒のルーキー・加藤拓也に9回一死まで無安打に抑えられ、9回にようやく一矢報いたが、打線が湿った状態であることは否めない。主力選手の今季打撃成績というと…

 打順  選 手       打撃成績
 1(中) 坂口 智隆  率.133 0本 1打点 0盗塁
 2(遊) 大引 啓次  率.278 0本 1打点 1盗塁
 3(二) 山田 哲人  率.265 1本 5打点 1盗塁
 4(左) バレンティン 率.206 1本 4打点 0盗塁
 5(右) 雄平     率.237 0本 3打点 0盗塁
 6(一) 畠山 和洋  率.258 1本 2打点 0盗塁
 7(捕) 中村 悠平  率.357 0本 3打点 0盗塁
 8(三) 谷内 亮太  率.313 0本 1打点 0盗塁

 主力選手の打撃成績を見ると、中軸の元気のなさが目につく。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、あれだけ好調だったオランダ代表のバレンティンは、疲労がたまっているのか、体に切れがなく、大振りが目立つ。3年連続のトリプルスリーを目指す山田も、まだ9試合とはいえ、例年に比べると物足りなさが残る。ちなみに昨季同時期の山田は、打率.400、4本塁打、9打点、3盗塁だった。

 投手陣が奮闘しているだけに、打線の早期復活に期待がかかる。

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