厳しい現実
開幕から3カードを戦い終えて、3勝5敗1分の4位。ベイスターズの2017シーズンは、やや不安を感じさせる滑り出しとなった。
チーム打率.222はセ・リーグのワースト(成績は4月11日現在、以下同)。打線が十分に機能しているとは言いがたい状況だからこそ、失点を抑えなければ勝利は手に入らない。
だが、昨シーズンは安定していた中継ぎ陣が、開幕早々、厳しい現実に直面した。
セットアッパーたちの防御率がすべてを物語る。
田中健二朗、15.43。須田幸太、11.57。三上朋也、5.79。まだイニング数が少ないとはいえ、主に7回、8回の重要な局面を任される彼らの苦悩はチームの成績に直結する。
しかし、過度に悲観する必要はないようにも思える。新たな戦力の活躍が目につくからだ。
厚みを増したブルペン
ここまでの9試合のうち、先発投手が降板した時点でベイスターズのリード、あるいは同点だったケースは7度ある。いわゆる“勝ち継投”が用いられるシチュエーションだが、7試合中6試合で、左の砂田毅樹(3試合)と右のS・パットン(3試合)が中継ぎの一番手として起用された。2人はともに5回1/3を投げて防御率0.00と、ほぼ完璧なリリーフ。ドラフト8位の新人右腕、進藤拓也も威圧感のあるサイドスローから強いボールを投げ込み、存在を示している。
須田、田中健、三上は昨シーズン、合わせて180以上の登板を数えた。その3人が万全でない期間を、砂田、パットン、進藤の奮闘でカバーすることができた――これはシーズンをトータルで考えた時、大きな意味をもってくる。
ポジティブに見れば、それだけブルペン陣の厚みが増したと言えるからだ。
「須田はブルペンで少しずつ少しずつランクアップしながら来ている。これまでの試合ではちょっと結果が出なかったけど、兆しが見えてきたんじゃないかな。田中健も徐々にね。別に調子が悪かったとは思ってないけど、少し落ち着いてきたんじゃないですか」
ブルペン担当の木塚敦史投手コーチがそう語ったのは、須田と田中健がともに1イニングを三者凡退に抑えた4月5日の試合後のことだ。選手たち自身、「直球に力が戻ってきた」(須田)、「気持ちの部分で勝負していくことができた」(田中健)と着実に復調へ向かっている手ごたえを得ていた。
事実、4月5日以降の5試合のうち4試合(計14回2/3)で、中継ぎ・抑えは完封リレーを披露した。ここまでに名前の挙がった6人プラス、守護神の山﨑康晃がしっかりとそれぞれの役割を果たしている。
新たな継投カタチ!?
昨シーズン、ベイスターズの先発投手で9回を投げ抜いたのは、山口俊(5度)、井納翔一(2度)、久保康友(1度)、G.モスコーソ(1度)の4人だったが、そこから山口とモスコーソがチームを離れた。開幕ローテに入ったのは井納だけだ。完投経験の豊富な先発投手が減った今シーズン、ブルペン陣の負担はさらに重くなることが予想される。
だからこそ――リリーバーたちはベイスターズの命運を握る存在であり、長いペナントレースを見据えると、新たに頼れる中継ぎ投手が増えたことは重い意味をもってくるのだ。
今シーズンの継投のカタチ、いわゆる“勝利の方程式”は依然として流動的だ。あるいは1つの「型」にこだわらず臨機応変の起用を続けながら、各投手のコンディションを上手にキープしていくことが、念願の優勝への大事なカギになってくるのかもしれない。