森原康平,
楽天の森原康平

◆ 加藤、佐々木などドラ1が躍動

 今季は、例年に比べ開幕からルーキー選手の積極的な起用と彼らの活躍が目立っている。

 広島のドラフト1位ルーキー加藤拓也は、デビュー戦で9回途中までノーヒットに抑える圧巻の投球を見せ、衝撃を与えた。ここまで14回1/3を投げ15四球と制球に大きな課題は残っているが、それを克服できればセ・リーグの新人王候補の筆頭に名前が挙がる。

 外れ1位指名で5球団が競合し話題を集めたロッテの佐々木千隼は、初登板で初勝利をもぎ取った。しかし、その後は出番がなく、次の登板機会をうかがっている。

 期待のドラフト1位2人がすでに勝利を挙げている中、今季の新人選手で最も期待が大きかったソフトバンクの田中正義は今もノースロー調整が続いており、ライバルたちに大きく後れを取った形だ。

 一方、野手では中日の京田陽太(ドラフト2位)と西武の源田壮亮(ドラフト3位)両遊撃手が開幕からスタメンで起用され、規定打席にも到達している。一方、野手でドラフト1位指名を受けた巨人の吉川尚輝と阪神の大山悠輔は二軍で汗を流しながら、一軍昇格を狙っている。

◆ 目立つドラフト下位組

 ここまでは主にドラフト上位組を見てきたが、今季のルーキーで最も特徴的なのが、ドラフト下位組の社会人チーム出身投手の活躍が目立っている点だ。先発投手や毎日スタメンに名を連ねる野手陣に比べるとなかなかスポットライトは当たらないが、そろって素晴らしい成績を残している。

 巨人の池田駿(ドラフト4位)は、開幕一軍の切符を手にすると、ここまで5試合に登板。4回2/3を投げ、許した安打はわずか1本(本塁打)に抑えている。

 DeNAの進藤拓也はドラフト8位という低評価を覆し、ここまで6試合に登板。7回1/3を投げ、防御率は1.23。ここ2試合は2イニングずつをしっかり無失点で抑えており、サイドハンドから繰り出される速球の評価はうなぎのぼりだ。

 パ・リーグでは楽天の2人がいまだに失点を許していない。森原康平(ドラフト5位)は、早くも10試合に登板し、6ホールドを挙げ、サウスポーの高梨雄平(ドラフト9位)は左打者を相手に12打数1安打に抑え込むなど、自身の役割を見いだそうとしている。

 他にもロッテの有吉優樹(ドラフト5位)が新人離れした投球術を見せ、ここまで5試合、4回1/3を無失点で切り抜けている。

 このようにドラフト時はそれほど注目されていなかった社会人出身の投手が、各チームのブルペンで重要な役割を果たしている。果たしてこの中から新人王候補に名乗りを挙げる選手は現れるのだろうか。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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