◆ 執念の安打「最高に気持ちいい」
「キャプテンにもなりましたし、背番号も『3』に変わった。変な姿は見せられない」。
執念の一振りだった。同点で迎えた延長12回、1死一塁で打席に入った浅村。フルカウントから楽天の5番手・森原の投球を振りぬくと、打球は右中間を破り、適時二塁打で試合を決めた。「良いポイントでコンパクトに打つことができた。最高の打球だった」と納得の表情で頷いた。
「最高に気持ちいいです」。普段、あまり感情を表に出すタイプではないが、お立ち台では満面の笑みがこぼれた。「昨日(18日)もみんな必死で勝とうとやっていた中で負けてしまった。今日はどうしても勝ちたかった」。執念でもぎ取った1勝はとてつもなく大きい。
本当に頼れる主将になった。12回、無死一塁という絶好のチャンスでルーキー・源田がバント失敗の後、空振り三振に倒れた。「源田はいつもかなり頑張っている。カバーしようという気持ちだった」。可愛い後輩のために、先輩は意地を見せた。
◆ 「怖いくらい」好調
背番号「3」を背に、そしてキャプテンの「C」マークを胸にした今季。その重圧は計り知れない。しかし、そんなことをものともせず、打率.419、安打数はリーグトップの「26」と開幕から好調を維持。「本当に怖いくらい」。自分でも驚くほどの出来をこう表現する。
昨季の同時期は打てない時期が続いた。4月15日から22日まで7試合無安打が続き、打率は.175まで下がった。「去年は打てない時期が続いて、(気持ちが)下がってばっかりだった。今年はキャプテンになったし、背番号も変わった。変な姿は見せられない。自分がしっかりしないと」。昨季の悔しさが浅村を一回りも二回りも大きくした。「打っても打てなくても、一日一日しっかりやろう」。鋭い眼差しで真っ直ぐ見つめる。
「優勝したい」。何度も繰り返すこの言葉。浅村の真剣な想いがあの一打から伝わってきた。