試合前に、招待したひとり親家庭の家族と記念撮影する西武・秋山(中央奥)=メットライフドーム (C)KYODO NEWS IMAGES

 有言実行。やっぱりこの男はやる男だった。

 西武のリードオフマン・秋山翔吾が23日の日本ハム戦で初回、今季2度目の先頭打者本塁打を放つと、8回の第5打席でもダメ押しの4号2ラン。2本塁打を含む3安打3打点と活躍した。

 どうしても打ちたかった。いや、打たなければならなかった。この日は、今季初めてとなる「ひとり親家庭」の親子を招待する日。秋山は2015年から同活動を続けており、今季も4回実施する予定だ。

 「特別な日」。秋山はこの日をそう表現する。「(招待した親子は)僕に注目してくれている。調子関係なく、打たなければいけない」。試合前、29歳は鋭いまなざしで誓った。

 秋山自身、小学校時代に父親を亡くし、母親に女手一つで育ててもらった。「自分も今までいろんな人に支えてもらった。少しでも手助けができれば」と同取り組みを続けている。「自分の活躍で元気つけるとか、勇気づけるとか、そんなおこがましいことではない」と謙虚に笑う。「ただ、親子の交流の場を作らせてもらっているだけ。ひとり親の家庭は、経済的にも時間的にも余裕がないところが多い。球場に来てもらって、親子の会話が増えれば。特別な時間を過ごしてほしい」と話した。

 16組35人の親子がバックネット裏で見守る中で有言実行。「勝つ試合を見せるっていうのが一番だったので、その中でいい仕事ができました。活躍できたのは自分にとっても大きい」と頷く。子どもたちの心の中で、背番号「55」は、誰よりもかっこいい英雄になっただろう。

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