危機を乗り越え初勝利
5連敗で迎えた23日のオリックス戦。ロッテの先発マウンドを託されたのは唐川侑己だった。
今季は開幕から3戦3敗。前回登板の16日・西武戦では、3回途中5失点で降板。試合後には「10年目なのでだいたい分かります」という言葉が出たように、“二軍落ち”も危ぶまれる状況だった。
そんな中で迎えた4戦目のオリックス戦。自身も「気合を入れて投げた」と語ったように、熱のこもった投球で好調オリックス打線をシャットアウト。8回4安打無失点の快投で今季初勝利とチームの連敗ストップを成し遂げた。
これには伊東勤監督も「気持ちを入れて投げていた」と絶賛。危機を乗り越えて初勝利を掴んだ右腕を讃えた。
勝利をアシストした男
この唐川の快投をアシストした男がいる。この日コンビを組んだ捕手・吉田裕太だ。
プロ4年目の25歳は、田村龍弘の台頭によって出場機会が減少。今季もこの日が初めてのスタメンマスクであった。
思い返せば2014年のルーキーイヤー、初めてのスタメン出場を果たした3月29日のソフトバンク戦でもマウンドに立っていたのは唐川だった。その時は2-5で敗戦。自身も無安打と結果が残せずに終わっている。
あれから3年...。互いにチーム内の立場も変わった中で迎えた一戦で、吉田も唐川と同様に成長した姿を見せつける。
直球主体の強気なリードで右腕を引っ張り、バットでも3回に先制点を呼び込む安打を記録。吉田にとって実に569日ぶりの一軍での安打であった。
「犠打を失敗した後だったので緊張した。2年ぶりのヒットなのでうれしい」と話す吉田の目からは肩の荷がおり、次への希望の光がうかがい知れた。
解説者の小宮山悟氏は、ロッテの打線を「きっかけさえあれば。打線がこのまま湿りっぱなしで終わることはない」と評する。チーム打率、本塁打数ともにリーグワースト。投手陣の健闘ばかりに頼ってはいられない。
連敗ストップに貢献した吉田の活躍は、苦しむチームに新たな風を吹き込むか。悪い流れを断ち切ったロッテの“次の試合”に要注目だ。