大記録から1年
1年前の4月26日、広島の新井貴浩が金字塔を打ち立てた。
神宮球場で行われたヤクルト-広島の一戦。先発の成瀬善久からレフト線を破る適時二塁打を放ち、その一本がプロ通算2000本目の安打に。史上47人目、広島から阪神に移り、そして広島に戻って達成した偉業であった。
バットマンとしてひとつの大きな目標を成し遂げた新井であったが、その後も勢いは衰えることなく、132試合の出場で打率.300、19本塁打で101打点を記録。主軸としてチームの25年ぶりVに大きく貢献した。
26日現在で通算安打数は2126本を数え、これは歴代25位という記録。どこまで安打を積み上げることができるか、大記録達成後も注目を集めている。
“守備の人”が積み上げた安打
あれから1年、実は2017年シーズンというのは近年まれに見る“偉業ラッシュ”のチャンスと言われている。というのも、通算2000安打に手が届きそうな選手が5名もいるのだ。
【2000安打に期待がかかる選手】
1976安打 荒木雅博(中) ☆残り24本
1936安打 福浦和也(ロ) ☆残り64本
1941安打 阿部慎之助(巨)☆残り59本
1923安打 内川聖一(ソ) ☆残り77本
1893安打 鳥谷 敬(神) ☆残り107本
[※4月26日現在]
いま、大記録に最も近い位置につけているのが中日の荒木雅博。今季は16試合の出場で打率.276、15本の安打を放っている。
かつては完全なる“守備の人”だった荒木。熊本工高から中日に入団するも、1年目は出場なし。2年目の1997年から2000年まではほとんどが守備固めか代走としての起用となっており、126試合に出場しながら91打席にしか立てていない。足を生かすためにスイッチ転向にも取り組んだ。
ところが、2001年に突如として打撃開眼。6月頃から1番に定着すると、111試合の出場で打率.338をマーク。規定打席には届かなかったが、一気にリードオフマンとして頭角を現した。
それ以降は俊足巧打を武器にレギュラー定着。井端弘和との鉄壁の二遊間は“アライバコンビ”と呼ばれ、リーグを代表する選手へと成長。2004年から6年連続で二遊間のゴールデングラブ賞を独占する快挙を成し遂げた。
中日一筋22年という長いキャリア。規定到達での最高打率は.300、最多安打は181本。コツコツと積み上げてきた結晶が、もうすぐ形になろうとしている。