◆ 期待の背番号「3」が昇格!
月は変わっても、ツキは変わらず…?
最後はヤクルトとのデットヒートに持ち込むも、4月をリーグ最下位で終えた中日。反撃の気配も見せていた中、5月に入って最初のカードの広島戦は0勝3敗に終わり、出鼻をくじかれる格好となってしまった。
特にこの3試合はすべて先制点を挙げながら、中盤以降に投手陣が踏ん張れずに逆転負け。4月戦線は投手陣が踏ん張るも打線が援護してくれないという流れが多かっただけに、なかなか投打の歯車が噛み合ってこない。
連休最後のカードは本拠地に戻っての巨人戦。地元ファンの前で逆襲の兆しを見せたいところであるが、苦しむチームにファンが期待するあの選手が帰ってきた。6年目の内野手・高橋周平である。
◆ チャンスを掴めなかった5年間…
2011年のドラフト1位で入団した23歳。東海大甲府高時代は甲子園出場経験がなかったにも関わらず、当時は“高校No.1野手”の触れ込みで中日のほかにオリックス、ヤクルトが1位指名した逸材であった。
1年目から一軍で41試合に出場し、本塁打を2本記録。ファームでは7本塁打で本塁打王に輝くなど、順調なスタートを切ったかに見えたが、そこからは伸び悩む時期が続く。
2年目の2013年、エクトル・ルナの負傷もあってシーズン後半から三塁に定着。66試合の出場を果たすも、これが現在までのキャリア最多出場。以降はケガや不振でチャンスを棒に振り、ここまでレギュラー確保には至らず…という状況にある。
高校時代の恩師である村中秀人監督は、かつて高橋のことを「森野将彦以上の素材」と評した。しかし、その素質を花開かせることなくユニフォームを脱いでいった選手たちは数知れず。素材は素材であって、活かすも殺すも自分次第ということだ。
そこで手を差し伸べたのが先輩たち。チームを引っ張る大島洋平が、キャンプ前の自主トレに高橋を誘った。体幹強化を中心としたウエイトトレーニングで知られる“地獄の合宿”を経て、勝負のシーズンへと準備を整えた。
◆ 救世主となるか
迎えた2017年シーズン、開幕後のチームに背番号「3」の姿はなかった。
新助っ人のアレックス・ゲレーロとの三塁争いに挑んだオープン戦では6打数無安打と結果が残せず、開幕を待たずに二軍降格。チームが苦しい戦いを強いられる中でも、その力となることはできなかった。
それでも開幕から1カ月が経った5月4日、ついに男にチャンスが巡ってくる。
今季初の一軍昇格を果たすと、ゲレーロをレフトに追いやる形で「6番・三塁」で先発出場。安打こそ出なかったが四球を1つ選び、得点も記録した。
高橋の昇格に刺激を受けてか、ゲレーロも2試合連続なるマルチ安打と本塁打を記録。三塁のポジションを巡る争いが熱を帯びてきた。
競争こそが、チームの底上げへの一番の近道。高橋が結果を残すことでまた新たな競争が生まれ、チームにいい流れが入ってくる。
3連敗で迎えるホームでの対巨人3連戦。“結果”が求められる中日の背番号「3」がナゴヤドームでどんな姿を見せてくれるのか…。その背中に大きな期待がかかる。