◆ 西武のエースとなった6球団競合左腕
今から8年前の秋、プロ野球界への扉を叩いた選手たち。当時高校生だった男たちの多くは今年で26歳となり、すでにチームの主力となっている選手も増えてきた。
今年“09年ドラフト組”のなかで最も活躍が光る選手といえば、西武の菊池雄星だろう。岸孝之がFA移籍で抜けたチームのなかで、新エースとしての期待を受けた左腕は開幕戦で勝利を挙げると、ここまで4勝(1敗)をマーク。防御率1.08は両リーグで見ても断トツの成績だ。
ここ4戦は3勝負けなし、なかでも被安打は1・3・2・3と推移。とにかく“打たれない”投手として試合を支配している。
8年前のドラフト会議では、西武のほかに阪神、ヤクルト、楽天、中日、日本ハムの6球団が競合。プロ入り後はなかなか芽が出ずに苦しんたが、ようやくその才能が花開いた。
◆ ハマの4番も同世代
投手の出世頭が菊池であるならば、野手ではなんと言っても筒香嘉智だろう。
ドラフト当時のチームといえば、2006年シーズンから4年連続でBクラス。それもうち3回は最下位の6位と、まさにどん底の状態にあった。
とにかく即戦力となる可能性の高い大卒・社会人投手の指名を希望する声が多い中で、“横高史上最高のスラッガー”と称されていた男を単独で1位指名。驚きの声もあがった。
プロ入り後はケガもあってブレイクが少し遅れたものの、昨季は44本・110打点でセ・リーグの二冠王に輝く大活躍。WBCでは日本の4番としてチームを牽引。今やあの松井秀喜と比較されるほどのスラッガーになっている。
また、ソフトバンクの今宮健太も早くから頭角を現し、主力選手として活躍している野手のひとり。
甲子園で最速154キロを記録するなど、高校時代は投手としてもその才能を見せつけたが、プロ入り後は高い身体能力をいかした守備で大活躍。2013年から昨年まで4年連続でゴールデングラブ賞に輝いている。
◆ 虎の下位指名組が開花?
さらに、新たに開花の兆しを見せているのが阪神の2人。ドラフト4位入団の秋山拓巳と、6位入団の原口文仁である。
昨年4年ぶりの一軍勝利を挙げた右腕は、今季ここまで6試合の登板で2勝2敗、防御率2.77と好投。ローテーションの一角として首位を走るチームを支えている。
5月9日の巨人戦では、7回を2失点に抑える投球で実に2423日ぶりとなる巨人戦での勝利もマーク。まずは2年目に挙げた自己最多の「4勝」超えへ、幸先の良いスタートを切った。
また、昨年支配下登録からのスピードブレイクが話題になった原口文仁も、2009年のドラフト入団組。今季は一塁専念で28試合に出場し、打率.238とやや苦しんでいるものの、勝負強い打撃で2本塁打・11打点という成績を残している。
現在は中谷将大との併用となっているが、昨年見せたような活躍ができるか。ここからの巻き返しに注目が集まる。
ほかにも、中崎翔太に代わって広島の抑えを務めている今村猛(広島)や、WBCに出場した岡田俊哉(中日)など、まさに今が旬な注目選手の宝庫。2009年の高卒ドラフト組から目が離せない。
【2009年・高卒ドラフト組】
<広島>
1位:今村 猛(清峰)
2位:堂林翔太(中京大中京)
4位:庄司隼人(常葉橘)
5位:伊東昂大(盛岡大付)
<巨人>
※指名なし
<横浜>
1位:筒香嘉智(横浜)
3位:安斉雄虎(向上)
4位:眞下貴之(東海大望洋)
<阪神>
4位:秋山拓己(西条)
6位:原口文仁(帝京)
<ヤクルト>
4位:平井 諒(帝京五)
<中日>
1位:岡田俊哉(智弁和歌山)
2位:小川龍也(千葉英和)
<日本ハム>
1位:中村 勝(春日部共栄)
4位:運天ジョン・クレイトン(浦添工)
<ソフトバンク>
1位:今宮健太(明豊)
2位:川原弘之(福岡大大濠)
3位:下沖勇樹(光星学院)
5位:豊福晃司(鳥栖)
<ロッテ>
3位:大嶺翔太(八重山商工)
<西武>
1位:菊池雄星(花巻東)
4位:石川 貢(東邦)
<楽天>
2位:西田哲朗(関西第一)
3位:小関翔太(東筑紫学園)
<オリックス>
3位:山田修義(敦賀気比)
※育成は除く