最多勝男までも…
昨季のセ・リーグ王者が苦境に立たされている。
順位こそ首位・阪神と0.5ゲーム差の2位につけているものの、23日の試合で野村祐輔が緊急降板。腰に異変を起こし、24日には一軍登録を抹消されてしまった。
昨年は自己最多の16勝をマークし、最多勝に輝いた右腕。今季もここまで3勝1敗、防御率2.16と好投を続けていただけに、チームにとっては大きな痛手となる。
これでエースのクリス・ジョンソンに続く、主戦投手の戦線離脱。今季の開幕前には、引退した黒田博樹の“10勝の穴”を指摘する声も多くあったが、開幕直後にジョンソンが戦列を離れ、ここに来て野村までも...。この左右の両輪で昨季は計31勝を記録したため、穴は合計“41勝”分にまで広がってしまった。
若手が支える先発陣
これだけの苦しい台所事情でありながら、現在の位置にいられるのは若手先発陣の奮闘があったからにほかならない。
プロ2年目の岡田明丈がチームトップの4勝(1敗)を挙げる活躍を見せ、4年目の九里亜蓮もこのところは負けが込んでいるとはいえ、ここまで3勝(4敗)をマーク。さらに4年目の中村祐太はプロ初登板・初勝利からの2戦2勝と、勢いのある若手たちが頑張っている。
野村の抹消を受けて迎えた24日の試合、先発したのは4年目の大瀬良大地。今季は力投を見せながらも7試合で1勝0敗となかなか勝ちが付かない日々がつづいていたが、この日はヤクルト打線を6回3安打無失点に抑える好投を披露。4月27日以来となる2勝目を挙げた。
ヒーローインタビューで1カ月ぶりの勝利に対する思いを聞かれると、「忘れてましたね」と笑った右腕。「なんとか仕事ができてよかった」という言葉に留めた男だが、その内側にはきっと「おれがやらないと」という想いがあったに違いない。
ファームではジョンソンが実戦復帰を果たしており、ほかにもプロ初登板であわやノーヒッターという快投を見せたドラ1ルーキーの加藤拓也や、期待の左腕・戸田隆矢と中村恭平、塹江敦哉といったところがアピールを続けている。
この苦境をチャンスと捉え、這い上がってくるのは一体誰か。交流戦を目前にして正念場に立たされた広島の投手事情から目が離せない。