ニュース 2017.05.28. 11:00

「守備は即戦力」から目指すルーキー最多安打

無断転載禁止
西武・源田壮亮(C)KYODO NEWS IMAGES

大豊作と言われたドラフトで...


 昨年10月20日に行われたドラフト会議。第1巡指名で創価大の田中正義に5球団の指名が集中したかと思えば、重複2回目(いわゆるハズレ1位)で桜美林大の佐々木千隼に5球団が競合。史上初の珍事は大きな話題となった。

 この2人の大卒右腕を筆頭に、高卒では夏の甲子園優勝投手・今井達也(作新学院→西武)や寺島成輝(履正社→ヤクルト)、藤平尚真(横浜→楽天)に高橋昂也(花咲徳栄→広島)の“高校BIG4”といった投手たちが注目を集めたドラフトであった。

 ところが、あれから7カ月が経った現在...。上述した選手たちのなかで一軍デビューを果たしているのはロッテの佐々木千隼のみ。「ドラフト1位」というくくりに広げても、山岡泰輔(オリックス)、柳裕也(中日)、浜口遥大(DeNA)、吉川尚輝(巨人)、加藤拓也(広島)、そして佐々木の6名となっている。

 “デビュー率”にすると50%だが、開幕から一軍に定着している選手というと佐々木と山岡、浜口といったところ。近年稀に見る豊作年との声も多かっただけに、やや寂しい結果となっている。


辻西武の申し子


 そんな中で存在感を発揮しているのが、ドラフト時に「守備は一級品」という評価を受けた2人の内野手。「守備“は”」というところがミソで、打撃では通用するかどうか不安視されていた男たちだ。今季のルーキーに限定した安打ランキングが以下の通り。

【2017年ルーキー・安打ランキング】
1位 56本 源田壮亮(西武/打率.311)
2位 46本 京田陽太(中日/打率.277)
3位 26本 石井一成(日本ハム/打率.232)
4位 14本 糸原健斗(阪神/打率.219)
5位 2本 田中和基(楽天/打率.143)

 トップに立つのは、西武のドラフト3位・源田壮亮。社会人・トヨタ自動車時代からその卓越した守備力は注目を集めていたが、打順は下位を打つことが多かった。

 ところが西武のルーキーとしては石毛宏典以来で36年ぶりとなるショートの開幕スタメンを射止めると、ここまでリーグ8位の打率.311を記録。56安打もリーグ4番目の数字で、三塁打5本は両リーグトップ。その快足を活かして盗塁数も13でリーグトップに立っている。

 今では強力な西武打線の2番を定位置とし、貴重なつなぎ役として活躍。もしこのままの勢いで安打を積み重ねることができれば、シーズン換算で182安打ペース。なんとルーキーのシーズン最多安打記録を更新する。

【新人・シーズン安打ランキング】
1位 180本 佐々木信也(高橋/1956年)
2位 153本 長嶋茂雄 (巨人/1958年)
3位 147本 河内卓司 (毎日/1950年)
4位 146本 榎本喜八 (毎日/1955年)
5位 140本 高橋由伸 (巨人/1998年)
6位 139本 江藤慎一 (中日/1959年
7位 136本 藤田宗一 (国鉄/1950年)
7位 136本 鈴木 武 (近鉄/1953年) 
7位 136本 高山 俊 (阪神/2016年)
10位 135本 坪井智哉 (阪神/1998年)

 さすがに1年目から今のペースで駆け抜けていくことは難しいかもしれないが、このランキングの中に名前を刻むチャンスは十分にあるだろう。


2人揃って新人王も!?


 また、2位につける中日の京田陽太も良いペースで安打を積み上げている。

 日本大からドラフト2位で入団した左打ちの遊撃手は、巨人のドラフト1位・吉川尚輝と並ぶ“大学No.1内野手”として注目を集めたが、この男も打撃がネックという見方が多かった。

 しかし、必死のアピールで開幕スタメンを掴み取ると、ここまでリーグ12位タイの安打数をマーク。チームの規定打席到達者のなかでは安打数、打率ともに3位と打線に欠かせない存在となっている。

 打順や起用法があまり固定されない期間も長かったが、最近ではほぼほぼ1番に定着。このままリードオフマンとして活躍を続けていけば、上述のランキングにも名前を残すことができるだろう。


 新人王争いという観点でも、昨季セ・リーグでは阪神の高山俊が受賞しているものの、パ・リーグでは茂木栄五郎が惜しくも届かず、18年ぶりの野手新人王誕生とはならなかった。

 パ・リーグ19年ぶりの野手新人王や、36年ぶりとなる両リーグ揃っての野手新人王の実現へ...。「守備の人」とは言わせない。源田と京田のこれからの戦いに要注目だ。


ポスト シェア 送る

もっと読む

  • ALL
  • De
  • 西

メジャーリーグ

高校・育成