◆ 注目対決はおあずけ…
3日の予告先発投手が発表された時、がっかりしたプロ野球ファンも少なくなかったのではないか。
巨人は田口麗斗が中5日で先発。日曜日に先発が予想されるオリックスのルーキー・山岡泰輔との“再戦”は実現しないことになった。
◆ 4年前の夏からはじまった物語
2013年夏、甲子園出場を賭けた広島大会の決勝戦。広島新庄の田口と瀬戸内の山岡が激突した。
両エース意地の投げ合いはどちらも譲らず、ともに延長15回を投げ抜いての0-0の引き分け。山岡が被安打1で15奪三振という快投を見せれば、田口は13安打を浴びながら19奪三振を奪う力投で無失点。火花散る2人の投げ合いにより、大会史上初の決勝再試合となった。
翌々日に行われた再試合でも、両者は7回まで無失点に抑える好投。試合が動いたのは8回、瀬戸内が田口をついに捉え、適時打で1点。23イニング目にして初の得点をもぎ取る。
援護をもらった山岡は最後まで広島新庄打線を封じ込め、1-0で勝利。瀬戸内が広島県代表の座を勝ち取った。
甲子園では名門・明徳義塾を相手に8回2失点の力投も敗退。初戦で姿を消すことになったが、大会終了後にあのダルビッシュ有が「動画見たけど、これは一番だわ」と山岡についてTwitterでコメントしたことで、一躍時の人となった。
◆ 別の進路を選んだ2人
一気に注目投手となった山岡だが、本人は社会人野球に進むことを表明。東京ガスの入団を決めた。
一方の田口はプロ志望届を提出すると、秋のドラフト会議では巨人が3位で指名。2年目の2015年に一軍デビューを果たすと3勝をマークし、昨季はローテーションの一角として自身初の2ケタ・10勝を挙げる。
そして、山岡は昨秋のドラフト会議でオリックスから1位指名を受け、晴れてプロの世界へ。開幕ローテ入りを果たしながら、なかなか白星がつかずに苦しい日々を過ごしていたが、5月28日のロッテ戦でついにプロ初勝利を掴んだ。
4年前の夏、県決勝で涙を飲んだ経験を糧に、巨人に欠かせない存在となった田口。すぐにプロへは行かず、社会人で実力と自信をつけてから挑むことを選んだ山岡…。今回は4年ぶりの再戦は実現しなかったが、今後も引き続き注視される“ライバル対決”であることは間違いない。
今年で22歳を迎えるという若き2人。これからのチームを、そして球界を背負っていくであろう2人の今後から目が離せない。そして、いつの日かプロの舞台で直接対決が実現することを楽しみに待ちたい。