アストロズのカイケル

◆ まさかの逆転負け

 アストロズの連勝が11でストップした。

 12連勝を狙った現地時間6日のロイヤルズ戦。4回途中までに6点のリードを奪うなど、一時は楽勝ムードだったゲーム。しかし、8回裏に追いつかれると、最後は守護神のケン・ジャイルズがサヨナラ本塁打を浴び、まさかの逆転負けを喫した。

 しかし、連勝が止まったとはいえ、今季成績は42勝17敗。勝率は30球団で唯一の7割超え(.712)とその強さは本物だ。ロイヤルズの粘りに屈し、勢いを止められたアストロズだが、再び連勝街道を歩み始めることはできるだろうか。

◆ 負け知らずのエース

 カギとなる7日の同カードには、絶対的エースのダラス・カイケルが先発予定だ。

 カイケルは、2015年に20勝8敗、防御率2.48の好成績でア・リーグのサイヤング賞に輝いたメジャー屈指の左腕。昨季は一転、不調に陥り、9勝12敗で防御率4.55と苦しんだが、今季はここまで11試合に先発し、すでに昨季と並ぶ9勝(0敗)を挙げている。

 ここまでの防御率1.67は、メジャー全体で唯一の1点台(規定到達の87投手中)と秀逸。7日のロイヤルズ戦で2年ぶりの2桁勝利に到達できるだろうか。

◆ シーズン25勝への挑戦

 カイケルの最大の特長は、ベテラン顔負けの投球術だ。

 ストレートの平均球速は約143キロとメジャー平均の147キロを下回っている。しかしながら、スライダーやシンカー、カッターなどの変化球を投げ分け、打者を手玉に取るメジャー随一の技巧派投手だ。

 特に低めへの制球力は抜群で、GB/FB(※フライ1つに対するゴロの数)は今季メジャー断トツの3.66。これは2007年以降の過去10年間でも最も高い数字だ。

 また、併殺に打ち取った数も今季メジャー最多の15個。走者を背負った場面でも、投球術を駆使し、相手打線を翻弄するシーンが目立つ。

 さらに今季の1イニング当たりの投球数は、メジャー2位の13.72。先発投手交代の目安ともいわれる100球に到達するのが、8回途中(7.29)という超“省エネ投手”でもある。

 勝利を呼び込むだけでなく、イニングイーターとして、救援陣の負担を軽減。まさに理想的なエースと言っていいだろう。

 7日の試合で今季10勝目を狙う左腕だが、強力打線が好調なこともあり、2年前に挙げた20勝を上回る可能性も十分あるだろう。そこでカイケルに期待したいのが、シーズン25勝という数字だ。

 20勝投手は毎年のように生まれているが、25勝投手となると1990年のボブ・ウェルチ(27勝)までさかのぼる。ウェルチの前は、さらに10年前の1980年までさかのぼらないといけない。すなわち、1981年から2016年の36年間でたった1人しか成し得ていない大記録なのだ。

 カイケルは、その投球術を武器に、幾つの白星を手にすることができるだろうか。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。 野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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