◆ 13連敗でストップ

 苦しんだ巨人が、ようやくトンネルを脱出した。

 9日、札幌ドームで行われた日本ハム戦に2-1で辛勝。球団ワースト記録を更新していた連敗を13で止め、交流戦初勝利を掴んだ。

 史上初となる“FA選手3名獲得”など、3年ぶりのリーグ優勝を目指してなりふり構わない大補強を展開した巨人。しかし、5月ごろから調子を崩しはじめると、交流戦直前から負けが込んでいく。

 気がつけば5月24日の阪神戦から連敗街道まっしぐら。3つあった貯金はあっという間になくなり、連敗は1975年に記録した球団ワースト記録の「11」を通り越して「13」まで伸びた。

 球団のワースト記録は更新してしまったものの、どうにか連敗を止めることには成功した巨人。ではこれまでのプロ野球全体の歴史で見ると、今回の連敗はどのくらいの位置づけになるのか。過去のNPBの連敗記録を振り返ってみよう。

【プロ野球・連敗記録】
1位 18連敗 ロッテ(1998)
2位 16連敗 ヤクルト(1970)
3位 15連敗 中部日本(1946)
3位 15連敗 南海(1969)
5位 14連敗 大洋(1955)
5位 14連敗 日本ハム(1984)
5位 14連敗 横浜(2008)
8位 13連敗 広島(1999)
8位 13連敗 西武(2015)
8位 13連敗 巨人(2017)

 今回の巨人の記録は、歴代8位タイに相当。もっと苦しい思いをしたチームがこれだけある、というのに驚くファンも多いのではないか。

◆ “ワースト2”との共通点

 さて、そんな各球団の歴代連敗記録を見ると、やはり目につくのは98年・ロッテの18連敗だろう。

 この年のロッテといえば、フリオ・フランコが3年ぶりに復帰したことで打線に厚みが増し、実際に開幕直後の4月は勝ち越してスタートしていた。だが、抑えの河本育之が故障したのを機に中継ぎ陣が崩壊すると、連敗街道へと転がり落ちていく。

 思えば今回の巨人も、連敗中にストッパーのアルキメデス・カミネロが二軍に降格した。カミネロの場合は故障や不調ではなく、ルイス・クルーズの昇格に伴い、外国人枠の兼ね合いから落とさざるを得なかったというチーム事情が要因であるが、代役ストッパーのスコット・マシソンが炎上したオリックス戦をはじめ、中継ぎ陣がつかまって落とした試合というのが目立った。

 また、16連敗というセ・リーグのワースト記録を持っているのがヤクルトだ。

 1970年は親会社がヤクルトに変わった記念すべき年だったが、戦力が整っていたとは言い難く、開幕から低空飛行の日々。8月4日の阪神戦からズルズルと負けが込みはじめ、最終的には16連敗を喫した。ちなみに、その年は首位の巨人から45.5ゲーム差も離れた最下位に終わっている。

 なかでも巨人の本拠地である後楽園球場では13戦全敗など、強いチームに徹底的にやられた。そういえば今季の巨人も首位をひた走る広島に対していいようにやられ、交流戦前までの対戦成績は1勝10敗という散々な結果となっている。

 北の大地で16日ぶりの勝利を挙げた巨人。待望の勝利をキッカケに、ここから巻き返していくことができるだろうか。まずは“次の一勝”が重要となってくる。

 連敗中には「V率0%」などという文字がメディアを賑わせたが、どん底を見た巨人は最終的にどの位置でシーズンを終えるのか。ここからの戦いぶりに注目だ。

文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

【福嶌弘・プロフィール】 1986年生まれ・神奈川県出身。バイク・クルマの雑誌の編集部を経て2015年からフリーライターとして独立。父が歌う「闘魂込めて」を聴いて育ったため、横浜出身ながら生来の巨人ファン。そのため近日はやけ酒をあおる日々が続く。『甲子園名門野球部の練習法』(宝島社)、『プロ野球2017 シーズン大展望』(洋泉社)などに執筆。

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