13連敗を喫するなど、苦しい戦いを強いられた巨人(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 巻き返しは困難…

 今年のセ・パ交流戦も各チーム2試合ずつを残すのみとなり、上位陣は1位のソフトバンクから4位・阪神までが1ゲーム差内にひしめく大混戦の様相を呈している。

 順位表の下の方に目を移すと、この交流戦で大きく苦しんだのが東京を本拠地にする2チームだ。11位・ヤクルトと最下位・巨人の差は0.5ゲーム。その差は僅かだが、過去の交流戦のデータから最下位だけはどうしても避けたい事情がみえてくる。

 過去12年間の交流戦最下位チームのシーズン最終成績を洗い出してみると、面白い傾向がわかった。

 交流戦最下位からクライマックスシリーズ(CS)圏内の3位以上、すなわちAクラスを確保したチームはたったの2例(16.7%)のみ。2012年のヤクルトと2014年の広島だけで、その2チームというのも最終的にはリーグ3位確保がいっぱいだった。

 では、ヤクルトと広島は交流戦最下位からどうやって巻き返したのか。その要因を探ってみると、実は両チームとも交流戦突入時点ですでに好成績を残していた。

 12年のヤクルトは19勝13敗3分の貯金「6」、14年の広島は27勝15敗で貯金は「12」を数えた。その貯金が生きたのか、最下位だった交流戦終了時でもヤクルトが勝率5割、広島は貯金を6個減らしたが、貯金生活を維持していたのだ。

 なので、2チームは交流戦で勝率を下げたとはいえ、リーグ戦再開時にはまだ勝率5割以上はキープしていたということ。したがって、交流戦突入時に借金生活をしていたチームが最下位に終わった場合、Aクラスでシーズンを終えた例はないということになる。

◆ ヤクルト・巨人の“熾烈”な争い

 では、今年の巨人とヤクルトはどうか。

 巨人は交流戦突入時に借金「1」、ヤクルトは同「7」という状態だった。前例にならうなら、今季の巨人とヤクルトはBクラス率「100%」ということになってしまう。

 しかし、それは過去12年間の限られたデータから導き出されたもの。実際は巨人もヤクルトもAクラスを十分狙える位置にいる。16日終了時点で3位・DeNAからのゲーム差はそれぞれ「4と「6」。リーグ戦が再開されれば、上位チームとの直接対決で一気に浮上することも可能だ。

 ちなみに、交流戦最下位を回避して11位で終えた場合のシーズンAクラス率は、最下位の16.7%に対して33.3%まで上昇する。また、交流戦11位からAクラス入りした4チームのうち、2008年の西武に至ってはリーグ優勝も果たしている。他にも14年の阪神が2位、15年の巨人も2位まで順位を上げるなど、その違いは大きい。

 11位と12位…。その差は紙一重だが、シーズン終了時には大きな差となる可能性を秘めている。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。 野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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