◆ 大混戦のア・リーグ東地区

 ア・リーグ東地区が大混戦となっている。

 開幕直後は快調に飛ばしていたヤンキースの失速もあり、現地時間6月21日(日本時間22日)終了時点での順位は以下の通り。5ゲーム差以内に5チームがひしめき合う大混戦となっているのだ。

【ア・リーグ東地区順位表】
1位 ヤンキース   39勝30敗(.565) -
2位 レッドソックス 40勝32敗(.556) 0.5
3位 レイズ     39勝36敗(.520) 3.0
4位 オリオールズ  35勝36敗(.493) 5.0
5位 ブルージェイズ 35勝36敗(.493) 5.0
※現地6月21日現在 

 そんななか、レッドソックスが首位から0.5ゲーム差の2位につけている。昨季は地区優勝を果たし、今季も優勝候補の一角と目されていたチームだが、同時に大きな不安も抱えていた。“ビッグ・パピ”こと、デビッド・オルティスの抜けた穴だ。

 オルティスは現役最終年の昨季に打率.315、38本塁打、127打点という“エグい”成績を残して球界を去った。その大きすぎる穴を誰が、どれだけ埋められるのかが今季のカギとなっていた。

 結論から言うと、オルティスの穴は全くもって埋められていない。チームの総本塁打数はア・リーグ最少。昨季メジャー断トツだった得点(1試合平均得点)も、現時点でア・リーグ15チーム中9位という有様である。

◆ 大記録と世界一への挑戦

 打線が低調ながらも、首位と0.5ゲーム差の2位につけている要因のひとつが投手陣の頑張りだ。

 チーム防御率はア・リーグ4位の3.96と上位につけており、特に救援陣はインディアンスに次ぐ2位の防御率2.99と抜群の安定感を誇っている。

 その救援陣の中心が、クローザーを務めるクレイグ・キンブレルの存在だ。先月29歳になったばかりのキンブレルだが、通算セーブ数はすでに276を数え、“メジャー最強守護神”として日本でも知られている。

 ブレーブス時代の2011年から4年連続でナ・リーグの最多セーブ投手に輝いたキンブレルだが、パドレスに移籍した15年から徐々に投球内容が悪化。レッドソックスに移籍した昨季は、防御率が自己ワーストの3点台まで落ち込み、さらに初めて故障者リストに入るなど、苦しいシーズンを送った。

 ところが、今季は開幕から絶好調。ここまで30試合に登板して2勝0敗20セーブ、防御率は圧巻の0.85をマーク。昨季と比べると奪三振率が14.09から16.77に良化しており、それでいて与四球率は5.09から1.42と大きく改善された。昨季は頻繁に見られた制球難からのメルトダウンは影を潜めている。

 このままシーズン後半も好調を保つことができれば、今季中の通算300セーブ達成も見えてくる。もし30歳を迎える前に300セーブに到達すれば、メジャー史上初の快挙だ。

 最も若く300セーブに達したのは、“Kロッド”ことフランシスコ・ロドリゲス(タイガース)で、31歳5カ月の時だった。もしキンブレルが今季中に大台に到達すれば、29歳5カ月という最年少記録になる。

 ちなみに、歴代1位の通算652セーブを挙げたマリアノ・リベラが300セーブに到達したのは、34歳と5カ月の時。キンブレルは、リベラより5年も早く快挙を達成する可能性があるのだ。

 歴代の名クローザーをも大きく上回るペースでセーブを稼いでいるキンブレルだが、そんな男もワールドシリーズとは無縁なキャリアを歩んでいる。史上初の20代での300セーブ、そして自身初の世界一へ…。復活した最強守護神のこれからに注目だ。

▼ キンブレルの年度別セーブ数
2010年:1セーブ
2011年:46セーブ
2012年:42セーブ
2013年:50セーブ
2014年:47セーブ
2015年:39セーブ
2016年:31セーブ
2017年:20セーブ
―――
通算:276セーブ
[※現地6月22日現在]

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。 野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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