もうひとつの開幕戦?
開幕から3カ月が経とうとしているプロ野球。交流戦も終わり、再びリーグ内での戦いに戻った。
交流戦は19日に全日程が終了したが、リーグ戦の再開は23日。少しの休みを挟むことで、ローテーション投手を一度登録抹消するなど、後半戦へ向けた投手陣の再編を行うチームもいくつか見られた。いわば交流戦後の初戦は、“もうひとつの開幕戦”なのだ。
今回はこの仕切り直しの一戦の先発投手に注目。なかでもシーズンの開幕戦に引き続いて“2度目の開幕投手”を任された男たちにフォーカスを当てた。
4名が“2度目の開幕”へ
3月30日の開幕戦と同じく、6月23日も金曜日だった。シーズンの開幕戦に続いて“2度目の開幕戦”も任されたのは、クリス・ジョンソン(広島)、ランディ・メッセンジャー(阪神)、涌井秀章(ロッテ)、菊池雄星(西武)の4人である。
いきなりのセ・リーグ首位決戦となった広島-阪神の一戦は、開幕戦と同じ顔合わせ。ジョンソンとメッセンジャーによる再戦となった。
開幕戦では昨季の沢村賞投手であるジョンソンが4回途中でKOされるなど、まさかの乱調。優良助っ人対決はメッセンジャーに軍配が上がった。
しかし、今度は開幕戦のお返しとばかりに広島打線が猛攻。メッセンジャーを4回降板に追い込むと、ジョンソンは7回1失点と好投。開幕戦後に体調不良から戦列を離れていた左腕が、開幕戦の相手にリベンジを果たした。
リーグ連覇へ向けてひた走る広島にとって、エース左腕の復活は大きなプラスになる。このままの勢いを保ち、昨年届かなかった日本一の栄光まで掴み取ることができるのか。後半戦は広島の進撃と、ほか5球団による「STOP the 広島」への動きに注目だ。
またも天敵に…
一方、仕切り直しのマウンドで大きくつまずいたのが西武の菊池雄星だ。
岸孝之がFAで退団したなか、投手陣の大黒柱として名乗りを挙げた8年目左腕。今季は開幕戦で7回1失点の好投を見せて幸先よく1勝を挙げると、交流戦終了までに7勝(2敗)をマーク。防御率も1点台と抜群の安定感を見せていた。
ところが、交流戦明け初戦のソフトバンク戦では3回途中7失点の大炎上。これで対ソフトバンクはプロ入りから勝ちなしの11連敗(16戦)とまたしても“天敵”にやられる格好となってしまった。
頼もしさの出てきた左腕であるが、ライバルチームにいつまでもやられていてはファンも“エース”とは認めてくれない。これからもっと上の順位を目指していく上で、ソフトバンク叩きは必須。どこかで苦手意識を払拭するような一勝を挙げたいところだ。
復活の兆し?
苦しい戦いが続き、リーグ最下位に沈んでいるロッテは、交流戦明け初戦を白星で飾った。
初回に緊急補強で獲得したペーニャの適時打などで先制すると、7回にも集中打で追加点。投げては先発の涌井秀章が7回3失点と試合を作り、3勝目(5敗)を挙げた。
苦しむチーム状況のなか、自身もエースらしい姿を見せることができずに苦しんできた右腕だが、6月は4試合で2勝1敗とここまで勝ち星が先行。徐々に復活の兆しを見せ始めている。
このように、開幕戦で勝利したメッセンジャーと菊池に黒星がつき、逆に黒星発進となったジョンソンと涌井は勝利を掴んだという“2度目の開幕戦”。この結果がこのあとのペナントレースにどんな影響をあたえるのか、ひとつ注目のポイントとなる。
ジョンソンとメッセンジャーによる“ライバル対決”のつづきに、菊池のソフトバンク戦、そして涌井の復活…。チームの大黒柱たちの今後から目が離せない。