ニュース 2017.07.12. 12:00

プロの舞台でも続く“不思議な縁”

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西武・多和田と山川(C)Kyodo News

プロの世界でも“共闘”


 7月2日に行われた巨人-DeNAの一戦。敵地に乗り込んだDeNAは9番の倉本寿彦が4打数4安打と固め打ちに成功すると、筒香嘉智は第11号本塁打を放つなど3打点をマーク。2人の活躍もあって、9-1で勝利を収めた。

 この2人といえば、高校野球の名門・横浜高校の出身ということでも知られる。学年こそひとつ違って倉本が先輩になるが、アマチュア時代のチームメイトがプロの世界で共闘するということは稀にある。

 直近では7月10日の西武-ロッテの一戦。昨年のドラ1右腕である多和田真三郎が嬉しい今季初勝利を挙げたが、劣勢の展開から値千金の同点弾を叩き込んだのはプロ3年目の外崎修汰。そして代打で貴重な追加点となる適時打を放った山川穂高も含めて、この3人は富士大学の出身だった。

 それも、試合後のお立ち台に上がった多和田と山川は中部商業高からのチームメイト。2人揃ってのヒーローインタビューに西武ファンは大いに沸いた。


プロの世界で“初対決”


 一方、こうしたケースと対照的なのが、『プロでは別のチーム』というパターン。これまで仲間だったのが、プロの世界に入って初めて真剣勝負をするという“因縁”も存在するのだ。

 たとえば、中日の柳裕也とヤクルトの星知弥がそれにあたる。つい昨年までは、エースと守護神として明治大野球部を支えていた2人。母校を大学日本一へと導き、柳はドラフト1位で中日へ、星はドラフト2位でヤクルトへ入団した。

 両投手ともリリーフとして1年目からプロデビューを果たすも、柳は6月3日の交流戦・楽天戦から先発に転向。6月18日の西武戦でうれしいプロ初勝利をマークした。

 一方の星も、キャンプ時は抑え構想まで浮上していたが、不調や故障者が相次いだチーム事情もあって4月30日の巨人戦から先発に転向。先発2戦目の5月7日・DeNA戦で初勝利を挙げると、ここまで3勝(3敗)を記録している。

 登板日の兼ね合いから“投げ合い”は実現していないものの、同一リーグに所属しているだけに後半戦での実現に期待が高まる。


 また、柳は横浜高の出身ということで、高校時代のチームメイトとの対戦にも注目。高2で名門のエースとして活躍した右腕がバッテリーを組んでいたのは、1学年上の近藤健介(現日本ハム)。その時、チームの主将は乙坂智(現DeNA)だった。

 2人の先輩は高卒でプロ入り。近藤はリーグが異なるため交流戦か日本シリーズまで対決はないが、乙坂は同一リーグの所属。それも高校時代から馴染みの深い横浜スタジアムを本拠地とするDeNAの所属ということで、ハマスタでの再会&対戦となれば高校野球ファンにとってたまらない展開となる。


注目の“甲子園優勝コンビ”


 その他にも、2015年夏の甲子園を制した東海大相模からはエース左腕の小笠原慎之介(現中日)がドラフト1位でプロ入りしているが、その時ダブルエースとしてチームを支えていた吉田凌も同年にドラフト5位でオリックスに入団している。

 吉田は未だ一軍デビューを果たしていないものの、今季はファームで9試合に登板して4勝2敗、防御率は1.50という安定した数字を残している。こちらも所属リーグが異なるため、公式戦で投げ合うチャンスは交流戦となってしまうが、来季以降の期待したい対決として記憶しておいていただきたい。

 同じく甲子園優勝コンビで言うと、2012年に春夏連覇を果たした大阪桐蔭も忘れてはいけない。当時のエース・藤浪晋太郎は阪神に、1学年下ながら正捕手を務めた森友哉は西武に在籍している。

 お互いの不調やケガなどもあり、森のプロ入りから4年が経った現在も未だ公式戦での顔合わせは実現していない。ただし、2015年にオープン戦で夢の対戦が実現。その時は先輩・藤浪が最速157キロを3球続けて投じ、フルスイングで応戦した後輩の森を右飛に仕留めた。


 アマチュア時代に同じ釜の飯を食った仲間と、プロ入り後に対戦…。両者の心の中には「負けたくない」という思いがいつも以上に芽生えているに違いない。

 もちろん、野球はチームの勝敗を競うものであり、個人の対戦が主ではない。しかし、その特別な対決が多くの観客を魅了するということも事実。野球の魅力のひとつである“人間ドラマ”が詰まったマッチアップに注目だ。


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