◆ 夢の球宴に幕
現地時間7月11日(日本時間12日)、メジャーリーグのオールスターゲームが行われ、延長戦の末にア・リーグが2-1で勝利を収めた。
日本よりひと足はやく行われた夢の球宴は、延長10回にロビンソン・カノ(マリナーズ)のソロでア・リーグが勝ち越し。メジャーを代表するスーパースターが8度目のオールスターにして放った第1号が値千金の一撃となり、カノは文句なしでMVPに輝いた。
MLBのオールスター戦は1試合で終了。現地14日からはシーズンが再開となるが、そこで今回は後半戦を迎える前に押さえておきたい『今季誕生しそうな“地味にスゴイ”記録』をいくつかピックアップしてみた。
◆ チーム代打打率1位への挑戦
ナ・リーグ中地区で2位につけるカージナルスの注目ポイントは、高打率を残している『代打陣』だ。
今季はここまで合計122打数42安打(打率.344)という高い数字をマーク。記録が残っている1999年以降のシーズン最高は2008年にブルージェイズがマークした.338(77打数26安打)となっており、その更新に期待がかかる。
ちなみに、代打打率ワーストは2006年にオリオールズが記録した.092(65打数6安打)。打率が1割に満たなかったのはこの年のオリオールズだけだ。なお、今季のワーストは現時点でロイヤルズの.125(16打数2安打)となっている。
◆ 今季のルーキーは投手も当たり年!
今季のMLBでルーキーといえば、ヤンキースのアーロン・ジャッジかドジャースのコディ・ベリンジャーの名前が真っ先に挙がる。
ジャッジは前半戦だけでメジャー全体トップの30本塁打を放ち、チームの新人記録を更新中。ベリンジャーもリーグ3位の25本塁打と、この2人の本塁打記録に関してスポットが当たることが多い。
しかし、ルーキー“投手”も負けず劣らずの好成績を残している。特に先日9回途中までノーヒット投球を見せたカイル・フリーランドと、アントニオ・センザテラというロッキーズのルーキーコンビは2人とも9勝をマーク。シーズン16勝ペースで勝ち星を重ねている。
1945年以降、新人投手が16勝以上を記録したのは昨季の前田健太や2012年のダルビッシュ有など、過去に38人しかいない(2年に1人のペース)。同一チームの2人が揃って1年目に16勝以上挙げるとなると、1937年にボストン・ビーズ(現アトランタ・ブレーブス)のルー・フェッテとジム・ターナーがともに20勝を挙げて以来、80年ぶりの快挙となる。
◆ 史上3人目!二塁手のシーズン失策「0」なるか
守備機会のそれほど多くない外野手や投手だと失策「0」という選手も多く見かけるが、守備機会が圧倒的に多い内野手による失策「0」はメジャー史上でもほとんどない。
今季はレッドソックスのダスティン・ペドロイアが二塁手として71試合に出場。そんな中ここまで611イニング、261守備機会で失策なしを続けている。
このままシーズンを終えれば、二塁手としては2010年のデビッド・エクスタイン以来で史上3人目となる守備率10割を達成する。好調打線に注目が集まるレッドソックスであるが、“ペドロイアの守備”にも注目だ。
◆ メジャー史上初の『勝率10割』に2投手が挑戦
最後に、日本では2投手が達成している『勝率10割』への挑戦。NPBでは1981年の間柴茂有(日本ハム/15勝0敗)と、2013年の田中将大(楽天/24勝0敗)が無敗のままシーズンを終えた。特に田中が4年前に達成した大記録は記憶に新しい。
一方、意外なことにメジャーでは『勝率10割』を達成した投手が未だいない。
今季はアレックス・ウッド(ドジャース/10勝0敗)とダラス・カイケル(アストロズ/9勝0敗)がここまで無敗をキープ。ともに規定投球回数にはわずかに達していないが、後半に戦線離脱がなければ問題なく到達するだろう。
これまでのシーズン最高勝率は、1937年にインディアンスのジョニー・アレンが記録した.938(15勝1敗)というもの。以下2位がグレグ・マダックスの.905(1995年/19勝2敗)、3位はランディ・ジョンソンの.900(1995年/18勝2敗)と続く。
メジャー史上初の“無敗投手”は生まれるのか。この2人の登板からも目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)