◆ 待望の“ローテ4番手”

 7月19日、ナゴヤドームで行われた中日-巨人の一戦。巨人のドラフト2位ルーキー・畠世周がプロ2戦目のマウンドに登った。

 前回のプロ登板は強力・広島打線を相手にやや消極的な姿勢が見られた右腕。この日はその反省を活かし、自身の武器である直球を軸に真っ向勝負で中日打線に挑んだ。

 初回に味方打線から4点の援護をプレゼントされると、大胆に相手の懐を突く強気の投球で中日打線を翻弄。79球で7回を無失点に封じる好投を見せる。

 8回に相手の反撃を食らって途中降板となるも、7回1/3を投げて91球、7安打、1四球で6奪三振の2失点と堂々たる投球を披露し、プロ初勝利を掴んだ。

 最終回は抑えのカミネロが3失点して1点差まで迫られるヒヤヒヤの展開も、なんとか逃げ切った巨人。この日の主役は「ケガもあってここまで長かったですけど、初勝利できて嬉しいです」と素直に喜びを語った。

◆ 手術を見越してでも欲しかった逸材

 近大福山高から近大を経て、昨年のドラフト2位で巨人に指名された畠。186センチの長身から投げ下ろす速球は最速152キロを計測し、3年秋には3試合連続完封を挙げるなどプロからの注目度も高かった。

 ところが、これだけの投手を2位で取ることができた背景には肘の故障がある。大学4年の秋に肘を痛め、リーグ戦はわずか2試合の登板に留まった。ドラフト直前での故障、それも箇所が箇所だけに大きな痛手となったが、巨人は「手術をすることを踏まえても将来エースになれる素材」として畠の指名を決断した。

 そして巨人入りが決まると、右ヒジ遊離軟骨除去手術を受け、1月の新人合同自主トレは別メニュー調整。キャンプも三軍スタートとなるなど、まず1年目は慎重に様子を見ながら、最悪1年は棒に振っても構わないというのが球団の方針だったように思う。それがファームで実戦復帰を果たし、5試合で2勝1敗、防御率2.70と好投を見せると、すぐに一軍から声がかかった。

 菅野智之、田口麗斗、マイコラスの3本柱はそれぞれリーグでも上位の好成績を収めながら、その3人に次ぐ先発投手が全く現れず…。苦戦を強いられていたチームは手術明けのルーキーに白羽の矢を立てた。

 初戦こそ本来の力を発揮できなかったものの、プロ2戦目ではしっかりと立て直して初勝利をマーク。後半戦の逆襲にかけるチームのなかで、畠の存在は間違いなく光明となっている。

 “ローテ4番手問題”に終止符は打たれるのか…。今後の畠の投球から目が離せない。

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