◆ 抑え投手が失点するケースが急増
野球ファンにとっての夏の風物詩・全国高校野球選手権大会が開幕し、プロの世界でも夏の風物詩といえる現象が起きている。猛暑のなか、開幕から蓄積した疲労の影響が徐々に出はじめたのか、各球団の中継ぎ陣、特にクローザーの救援失敗が目につきつつある。
セ・リーグ首位広島の今村猛は8月2日の阪神戦で逆転2点適時打を浴びて4月20日以来の黒星を喫した。広島を追う2位阪神のドリスは8月3日の広島戦で3失点と炎上。3位DeNAの山﨑康晃は7月30日の巨人戦でサヨナラ2点適時打を許し、4月13日以来という、久しぶりの敗戦投手となっている。
パ・リーグも抑え投手が失点するケースが目立ちはじめている。首位ソフトバンクのサファテは8月1日のオリックス戦でサヨナラ本塁打を被弾した。2位楽天の松井裕樹は左肩痛によって7月27日に登録抹消。松井に代わるのは長く防御率0.00を維持していた福山博之だが、その福山も8月5日のロッテ戦では、今季初失点した7月20日の日本ハム戦以来の失点を許した。怒涛の追い上げを見せる3位西武も8月5日のソフトバンク戦で増田達至が同点の延長10回に勝ち越し打を許し、連勝を13で止めてしまった。
そのほか、カミネロ(巨人)や田島慎二(中日)も不安定な投球が目立ち、平野佳寿(オリックス)は不振により自ら志願してファームでの調整期間を設けた。ロッテは、内竜也が8月4日の楽天戦で逆転サヨナラによる今季初黒星を喫し、伊東勤監督が今後は「日替わり守護神」とすると明言している。
◆ 問われる中継ぎ陣の起用や選手層
まさに中継ぎ受難の季節到来といったところだろう。サファテはサヨナラ負けを許した8月1日のオリックス戦後に「先発投手にこれだけ連続で(早く)降板されるとツケが回ってくる。(中継ぎ陣は)みんな疲れている」と発言。「先発陣はなにかを感じてほしい」と、疲弊している中継ぎ陣の心情を訴えた。
異常な暑さが続く夏場の疲労は先発陣や野手にも当然重くのしかかるが、連日のように緊迫した場面でマウンドに上がるクローザーをはじめとした中継ぎ陣にとっては、その影響はより大きい。そういう意味では、投手起用などベンチワークの重要度も増してくる。開幕から長い時間をかけて出来上がった勝ちパターンから離脱者が出た場合、その穴を即座に埋められるのか。もちろん、中継ぎ陣の選手層の厚さも問われるだろう。
ペナントレースは「夏場以降が本番」。その大きな鍵のひとつを握るのが、過酷な状況で投げ続ける中継ぎであることは間違いない。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)