◆ 記録づくめの2000本

 「打ててしまったな、というのが、今の正直な気持ちです」。史上49人目の大記録達成も、あっさりと振り返った。

 個人のことよりもチームが優先。それが阿部慎之助という男である。自身の2000安打達成会見にも関わらず、「達成できて素直にうれしいと思う気持ちと、負けてしまって残念という気持ちがある。また来週から切り替えてやりたい。もう一回集中して、なんとか上位に加われるように」と気がつけばチームの話。“阿部らしさ”が溢れていた。

 大記録を誇らない本人に代わって説明すると、通算2000安打は長い歴史を持つプロ野球のなかでも史上49人目。それだけでも偉業なのだが、これを『巨人の生え抜き選手』に絞ると、あの川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、柴田勲というそうそうたるメンバーに次いで5人目のことになる。

 さらに、近年は主戦場を内野に移しているものの、2000安打のほとんどは捕手として稼いだもの。捕手の2000安打達成は野村克也氏、古田敦也氏、谷繁元信氏に次いで史上4人目の快挙となり、巨人の捕手では初めて。また左打ちの捕手としては史上初の2000安打達成者となった。

◆ 次なる大記録は…

 巨人の正捕手という過酷なポジションを守り続け、偉業を成し遂げた背番号「10」。そんな男に迫る新たな大台が、『通算400本塁打』だ。

 ここまで放った本塁打は通算387本。現役では中村剛也(西武/354本)、村田修一(巨人/354本)を抑えて堂々の1位である。

 通算400本塁打は過去に18人しか達成者がおらず、2000安打&400本塁打となると過去に15人だけ。またひとつ球史に名を刻む金字塔となる。

 阿部はプロ1年目の2001年から毎年欠かさず2ケタ本塁打を継続しており、今年で17年連続。このペースでいけば、来季中にも達成が見込まれる。

 まずは今季残りのシーズンでどこまで本数を重ねていけるか。きっと本人はまるで気にしていないことなのだろうが、新たな偉業達成をたのしみにしたい。

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