待ち遠しいドラフト会議
夏の甲子園も終わり、プロ野球のシーズンも佳境を迎えようかという今日この頃。夏の終わりが近づくとともに、今秋のドラフトに向けた話題が徐々に増え始めている。
今年の高校球界では清宮幸太郎(早稲田実業)や安田尚憲(履正社)といった超高校級スラッガーが大会前から大きな注目を浴びながら、予選で敗れて甲子園には出場が叶わず。「目玉不在」とまで言われながら始まった大会で、中村奨成(広陵)が衝撃の大ブレイクを果たした。
ドラフト1位候補の目玉選手たちが話題をさらう中、プロの世界に入ってしまえば皆が同じ“新人”。期待のドラ1選手が鳴かず飛ばずで終わる一方、ドラフト下位から思わぬ“掘り出し物”が出て来ることだって往々にしてある。
『ドラフト6位』が好調!
なかでも今季の球界を賑わせているのが、『ドラフト6位組』の逆襲だ。
ドラフト6位からの下克上と言えば、現在も広島の精神的支柱として活躍している新井貴浩や“ハマの番長”こと三浦大輔といったところが代表格であるが、今季もドラフト当時の評価を覆すような活躍を見せる選手が多く出てきている。
その筆頭といえるのが、DeNAの宮崎敏郎だ。2012年のドラフト6位で社会人・セガサミーから入団した右打ちのスラッガーは、プロ5年目にして持ち前の打撃センスが開花。「5番・三塁」の座を手中に収め、ここまでの打率.319は堂々のリーグトップである。
ここに来て全体的に数字が落ち着いてきており、宮崎以下はマギー(巨人/.315)、丸佳浩(広島/.314)、大島洋平(中日/.313)、安部友裕(広島/.310)、坂本勇人(巨人/.309)と大混戦。このまま首位打者の座を守り抜くことができるか、注目が集まる。
また、連覇へ向けてひた走る広島のリリーフ陣を支える中崎翔太も『ドラ6組』。2010年のドラフト6位で日南学園高からプロ入りを果たすと、4年目の2014年から一軍に定着。2015年の途中からストッパーを任されるようになると、昨季は61試合で34セーブ・防御率1.32という活躍でリーグ制覇に大きく貢献した。
今季は開幕直後に故障で戦列を離れるも、5月に復帰して以降はセットアッパーとしてフル回転。ここまで46試合で3勝1敗2セーブ・24ホールドで防御率1.41と好投を続けており、代役守護神の今村猛に疲れの色が見え始めた8月終盤からは9回を任されるようになった。
『2013年組』の飛躍
さらに『ドラフト6位』の中でも勢いに乗っているのが、『2013年入団』の選手たちだ。
阪神では左腕の岩崎優がそれに当たる。国士舘大からプロ入り後、3年間は先発として計11勝をマークするもローテーション入りまでは至らず。それが今季から中継ぎに転向すると、貴重な中継ぎ左腕として52試合に登板。2勝0敗13ホールド、防御率も2.41と安定した成績を残している。
ロッテの二木康太も苦しいチームの中で奮闘中。なかなか援護に恵まれず6連敗を喫するなど厳しい時間を過ごしたものの、8月6日の楽天戦で9回1失点の完投勝利を挙げてトンネルを脱出。今季限りで退任する伊東勤監督に「完ぺき」と言わしめた。
その後は再び勝ち運に恵まれていないものの、8月13日の西武戦は7回2失点、8月20日のオリックス戦と8月27日のソフトバンク戦はともに8回3失点と好投。来季への期待を抱かせるような姿を見せている。
野手ではヤクルトの藤井亮太がブレイク。シティライト岡山から捕手として入団するも、内外野どこでも守れるユーティリティ性を発揮してチームに欠かせない存在に。今や三塁のレギュラーを射止めようとしている。
積極的な守備が最大の魅力だが、打撃でも成長した姿を見せている28歳。昨季までの3年間通算で32試合・10安打だったのが、今季は75試合の出場で63安打を記録。打率も.259をマークしており、こちらも今後が楽しみだ。