◆ 118キロの巨体を揺すって激走!
ロッテのペーニャが低迷するチームをハッスルプレーで鼓舞している。
9月3日の日本ハム戦、2点をリードされて迎えた3回、2死一・二塁の場面だった。外角低めの直球をとらえた角中勝也の打球は左中間を真っぷたつ。一塁走者のペーニャは191センチ・118キロの巨体を揺すりながら激走を見せる。二塁走者・荻野貴司に続き、間一髪のタイミングで見事にホームイン。何度も両手を振り上げながらベンチに戻り、チームメートとファンの弾ける笑顔に迎えられた。
ペーニャは前日2日の日本ハム戦でも同じような激走を見せている。1点リードの6回、1死一塁の場面で角中の鋭い打球が中堅・西川遥輝の頭を超えてフェンスに直撃。西川が打球を深く追っていたこともあり、大きくはね返ったクッションボールは外野陣の間を転がる。一塁走者のペーニャは二塁、そして三塁を蹴ってド迫力の全力疾走。リードを広げる2点目のホームを踏んだ。
◆ 直近17試合7本塁打と打撃好調
シーズン終盤になって、“本業”のバットも絶好調。6月18日の巨人戦で“ロッテのペーニャ”として一軍初出場を果たしたものの、代名詞の本塁打はなかなか生まれず、1試合2本塁打を記録した8月2日の日本ハム戦まで待たされることとなった。しかし、8月16日の日本ハム戦以降は出場17試合で7本塁打と完全に量産体制に入っている。9月1日の日本ハム戦では2本の2ランを放ち、4打点を荒稼ぎした。
本塁打の増加によって対戦チームの警戒も高まっているのだろう。本塁打増加と比例して四球での出塁も急増している。前述の二度の“激走ホームイン”も、いずれも四球で出塁した後のものだった。
チームは24試合を残して5位・日本ハムに4.5ゲーム差の最下位だ。オープン戦では「.867」という驚異的な勝率で1位になり、大きな期待を背負ってシーズンを迎えた。しかし、開幕から4連敗でスタートするなど、今季は一度も勝率5割を超えることなく低迷。それでも球界屈指ともいわれる熱狂的なファンたちは熱い声援を送り続ける。ペーニャの全力プレーは、チームメートを鼓舞するだけでなく、そんなファンの救いにもなっているだろう。
勝っても負けても全力で……。秋風が吹きはじめ、夏の甲子園の余韻に浸るわけではないが、やはりそれが野球の原点。そんなことを思い起こさせるペーニャの激走だった。
※数字は2017年9月3日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)