◆ ポストシーズンに進むのは…

 年間162試合に及ぶメジャーリーグのレギュラーシーズンもあっという間に残り1カ月を切り、プレーオフ争いも激しさを増してきた。

 ア・リーグの3地区を見てみると、中地区はインディアンスが、西地区はアストロズがすでに地区優勝へ向けて優勝秒読み段階。カウントダウンの体勢に入りつつあるが、東地区はレッドソックスが一歩リードも2位・ヤンキースにも逆転の目が残されている。

 この優勝争い以上に火花を散らしているのが、各リーグ2位以下の中の勝率上位2チームに与えられる『ワイルドカード』の枠を巡る争いだ。

 特にア・リーグは優勝争い中のヤンキースを筆頭に、合計8チームが2つの枠を奪い合うという展開。最後の最後まで譲れない戦いがつづく。

 現在のところワイルドカード争いの首位・ヤンキースと2位・ツインズの差は「2.5」。戦力的に見ても、ヤンキースは地区優勝を逃してもポストシーズンに滑り込む可能性は高そうだ。

 ヤンキースが優勢としても、残る2枠目はまったく分からない状態。現状ではツインズがリードしているが、次点のエンゼルスとは1ゲーム差。さらにオリオールズ、レンジャーズ、レイズ、ロイヤルズ、マリナーズと続いており、ツインズからマリナーズまでの7チームは4ゲーム差の中にひしめいている。

◆ カギを握るスーパースター

 果たして、大混戦を抜け出すのはどのチームか…。中でも注目はエンゼルスだ。

 8月末にはトレードで京田の外野手ジャスティン・アップトンと二塁手のブランドン・フィリップスを獲得。積極補強に乗り出し、マイク・トラウト頼みだった打線を厚みを持たせることに成功した。

 と言っても、やはりトラウトの存在は特別。今季は5月下旬に負傷から1カ月半に渡って戦列を離れたが、打者の実力を表す指標:OPS(=出塁率+長打率)は自己ベストの.991を大幅に上回る『1.115』を記録。離脱の影響で規定打席にはわずかに足りていないものの、2004年にバリー・ボンズが記録した『1.422』に次ぐとてつもない数字である。

 今月に入ってからはやや不振が目立ち、6試合で打率.286も本塁打と打点は0。スランプは気になるところだが、月間の出塁率は.516を誇っており、盗塁も5つ記録。打てないながらもクリーンナップへのつなぎ役として奮闘している。この男の復調具合がエンゼルスの命運を左右すると言っても過言ではないだろう。

◆ 15年前の再現を…

 またもう一人、智将マイク・ソーシア監督の存在もエンゼルスの大きな強みだ。

 監督としての通算勝利数は歴代22位の1562勝。現役ではダスティ・ベイカー監督(ナショナルズ)とブルース・ボウチー監督(ジャイアンツ)に次ぐ大記録であり、通算の勝率は1000勝を超える現役監督9人の中では最高の.540を誇っている。

 2000年からチームを率いる指揮官は今季が18年目。2002年にはチームを史上初のワールドシリーズ制覇へと導いたが、その後は6度の地区優勝に輝きながらもプレーオフで敗退した。

 思い返してみると、2002年の世界一はワイルドカードからの快進撃だった。大混戦となっているワイルドカード争いを制し、15年ぶりとなる世界一への挑戦権を手にすることはできるだろうか。

【ア・リーグWC争い順位表】
ヤンキース  +2.5
ツインズ   -
―――――――――――――――――――― 
エンゼルス  1.0
オリオールズ 2.0
レンジャーズ 2.5
レイズ    3.5
ロイヤルズ  3.5
マリナーズ  4.0
(※現地7日終了時点)

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。 野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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