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151球の熱投!
19日にナゴヤドームで行われた中日-巨人の一戦で、中日の若き左腕・小笠原慎之介が文字通りの“熱投”を見せた。
4回までに10点を挙げる味方の大量援護にも守られ、巨人打線と真っ向勝負。5回以降は毎回安打を浴びるも、失点は6回に浴びた村田修一の2ランによる2点で踏みとどまり、プロ2年目にして初めての完投勝利を挙げた。
毎回のように走者を背負う展開もあって、この試合で小笠原が投げた球数は実に151球。投手分業制が主流となった現代では稀に見る多さである。
特にセ・リーグでは投手が打席に入る分、一人の投手がたくさん投げることはパ・リーグよりも珍しい。今季はパ・リーグで西勇輝(オリックス)が154球を投げたことがあったが、セ・リーグの投手で1試合に150球以上を投げたのは小笠原が初めてである。
【2017年セ・リーグ/1試合の球数ランキング】
151球 小笠原慎之介(中日/9月19日/9回)
147球 岡田明丈(広島/4月8日/8.1回)
141球 今永昇太(DeNA/6月25日/9回)
138球 九里亜蓮(広島/4月16日/7.2回)
135球 菅野智之(巨人/5月2日/9回)
135球 メッセンジャー(阪神/6月1日/7回)
134球 小笠原慎之介(中日/6月24日/8.1回)
133球 大野雄大(中日/4月14日/7.2回)
133球 又吉克樹(中日/4月21日/7.2回)
133球 大野雄大(中日/4月28日/7回)
132球 今永昇太(DeNA/4月19日/9回)
132球 大野雄大(中日/7月19日/6回)
132球 山中浩史(ヤクルト/7月27日/9回)
130球 バルデス(中日/4月12日/7回)
130球 メッセンジャー(阪神/4月21日/8回)
130球 秋山拓巳(阪神/5月16日/9回)
130球 浜口遥大(DeNA/6月27日/6回)
130球 鈴木翔太(中日/7月4日/8.1回
上記は今季のセ・リーグにおける1人の投手の球数ランキング。130球以上を投げた投手は18名いるが、その中で中日の投手が8名を占めるというのが興味深い。
中でも大野が3度、そして今回の小笠原も2度の130球超えを記録しており、やはりその負担の大きさ・疲労といったところは気がかりなところだ。
ファンは不安も…故障だけは要注意!
日本の投手の“投げすぎ問題”は各所で議論の話題に挙がるところ。メジャーでは100球を目安にしながら、そこに届かずともある程度試合を作ればスパッと代えて後のリリーフにバトンを渡していくように、1試合で130球も投げるというのは受け入れがたいことであろう。
小笠原は今季20試合に登板し、トータルで1958球を投球。うち17試合で先発をし、100球を超えた数は実に12回もある。ファンからは「投げさせすぎでは…」という心配の声が多く挙がっている。
というのも、この若き左腕はオフに左肘の手術を受けており、それにより開幕が1カ月遅れていた。無事に復帰を果たし、一軍でバリバリ投げている姿は頼もしいものの、箇所が箇所だけに再発の不安も避けられない。
将来のチームを背負って立つ男として、日々経験を積んでいる19歳。何にも代えがたい経験は大事だが、それも健康な身体があってこそ。中日ファンはそれを痛いほど理解している。
かつてチームを支えたエースの吉見一起や浅尾拓也は、故障の影響もあって近年は思うような成績が残せず。今では二軍で苦しい日々を送っている。そんな悲劇を目の当たりにしてきたからこそ、若きエース候補の嬉しい初完投にも、複雑な想いが混じる人は少なくない。
ファンの想いを背に、誰もが認めるエースへと成長していくことができるか…。小笠原慎之介の今後に期待が高まる。