ドラフトの季節…
あっという間に夏が過ぎ、気がつけばもう10月は間近。プロ野球は両リーグで優勝チームが決まり、シーズンも最終盤。来季に目を向ける話題も多くなってきた中、徐々にドラフト会議への注目度も高まってきた。
先日は早実の清宮幸太郎が記者会見を開き、高卒でのプロ志望を表明。早くも阪神が1位指名を明言するなど、大きな注目を集めている。そんな夏の甲子園という一大イベントが終わった高校生たちに対し、まさに今ドラフト指名に向けて最後のアピールに燃えているのが大学4年生たちだ。
全国各地で秋季リーグ戦が行われており、彼らにとっては今が正念場。昨年の田中正義(創価大→ソフトバンク)や佐々木千隼(桜美林大→ロッテ)のような超目玉は不在となっているものの、粒ぞろいなだけに各球団のスカウトたちはギリギリまでその目を光らせている。
大卒1年目を迎える高卒5年目
今年の大卒組は1995年~1996年生まれの世代。2013年に高卒でプロ入りした選手たちと同世代にあたる。
この時の目玉といえば、ドラフト1位で指名を受けた松井裕樹(桐光学園→楽天)や森友哉(大阪桐蔭→西武)だったが、今や2人ともすっかりチームの主力。1年目から一軍の舞台で結果を残し、評判に違わぬ活躍を見せた。
また、ほかにも今季ブレイクした上林誠知(仙台育英→ソフトバンク)をはじめ、正捕手争いをリードしている若月健矢(花咲徳栄→オリックス)、リリーフ左腕として貴重な働きを見せる砂田毅樹(明桜→DeNA)といったところが順調に頭角を現して来ている。高卒5年目を迎える来季は、開幕から主戦としての活躍に期待がかかる。
今回はそんな『2013年高卒組』に注目。同世代の大卒がプロ入りしてくる来季のブレイク候補を何名か挙げたい。
来季ローテ入りに期待!
37年ぶりのリーグ連覇を成し遂げた広島。今季は主に谷間としてチームの苦しい時期を埋めたのが、2013年のドラフト5位・中村祐太である。
昨季までの3年間で一軍出場はゼロも、今季は5月3日の中日戦でプロ初登板・初先発・初勝利。以降もすべて先発として14試合に登板し、5勝3敗、防御率3.59という成績を残している。
なかなか決まった出番がない中、8月18日を最後に白星から遠ざかっていたものの、9月22日の巨人戦では7回無失点の快投で約1カ月ぶりの白星をゲット。ポストシーズンを前に首脳陣に大きくアピールした。
来季は『脱・谷間』でローテーション投手へ…。期待がかかる投手の一人である。
投手ではもう一人、ロッテの二木康太も苦しいチームの中で奮闘中。ここまで20試合で6勝(9敗)を挙げ、勝ち星はチームトップだ。
2013年のドラフト6位でプロ入りした右腕。昨季は開幕ローテーション入りを果たし、22試合の登板で7勝9敗、防御率5.34という成績。決して好成績とは言えないまでも、プロ初勝利を含む7勝を挙げるなど一軍の舞台で貴重な経験を積んだ。
今季は勝ち星こそ昨年より劣っているものの、ここまで5完投はリーグでも3位タイに入る好成績。苦しい中で2年間戦い抜いたという何にも代えがたい財産を手に、来季の大ブレイクへ。こちらも大きな期待を受けている。
レギュラー奪取に燃える内野手
野手では、ヤクルトの奥村展征がブレイクの兆しを見せる。
2013年のドラフト4位で巨人に入団も、昨季FA移籍した相川亮二の人的補償としてヤクルトへ。新天地でプロデビューを果たすも、わずか4試合・8打席の出場に終わり無安打だった。
しかし、今季は大引啓次の離脱もあって夏場から出場を増やすと、ここまで40試合の出場で打率.240をマーク。西浦直亨や広岡大志らとの競争に勝ち、定位置奪取へ。来季の開幕戦、ヤクルトの遊撃に就いているのが誰なのか。今から注目だ。
パ・リーグでは、日本ハムの渡辺諒に注目。高校No.1内野手の評判でドラフト1位指名を受けた大型内野手だが、プロ入り後は相次ぐケガにも悩まされてなかなかチャンスを掴むことができなかった。
今季も中島卓也が負傷で離脱した5月に一軍昇格のチャンスを得たが、約1カ月の間に出場できたのは6試合だけ。打席は3打席のみで登録抹消となってしまう。それでも9月に再び一軍昇格を果たすと、2日のロッテ戦ではスタメン出場で3打数1安打。ここまで7試合でスタメン出場を果たすなど、徐々に出番を増やしつつある。
今秋のドラフトで入団してくる同世代たちは、その多くが“即戦力”としてプロの世界に殴り込んでくる。ひと足早くプロの世界に足を踏み入れた『2013年高卒組』の選手たちは、同世代の選手たちに“プロの先輩”として負けるわけにはいかない。勝負の高卒5年目を迎える彼らの意地に期待したい。
【2013年ドラフト・高卒選手】
<パ・リーグ>
▼ 日本ハム
1位:渡辺 諒(東海大甲府)
7位:岸里亮佑(花巻東)
8位:石川 亮(帝京)
▼ オリックス
3位:若月健矢(花咲徳栄)
4位:園部 聡(聖光学院)
5位:吉田雄人(北照)
6位:奥浪 鏡(創志学園)※すでに退団
▼ ソフトバンク
4位:上林誠知(仙台育英)
育成2位:東方伸友(浜田商業)
育成3位:曽根海成(京都国際)
▼ ロッテ
6位:二木康太(鹿児島情報)
育成1位:肘井竜蔵(北条)
▼ 西武
1位:森 友哉(大阪桐蔭)
4位:金子一輝(日大藤沢)
▼ 楽天
1位:松井裕樹(桐光学園)
2位:内田靖人(常総学院)
4位:古川侑利(有田工業)
9位:今野龍太(岩出山)
<セ・リーグ>
▼ ヤクルト
5位:児山祐斗(関西)※すでに退団
▼ DeNA
5位:関根大気(東邦)
育成1位:砂田毅樹(明桜)
▼ 中日
1位:鈴木翔太(聖隷クリストファー)
育成1位:岸本淳希(敦賀気比)
▼ 広島
5位:中村祐太(関東一)
▼ 阪神
2位:横田慎太郎(鹿児島実業)
▼ 巨人
2位:和田 恋(高知)
3位:田口麗斗(広島新庄)
4位:奥村展征(日大山形) ⇒ ヤクルトへ移籍
5位:平良拳太郎(北山) ⇒ DeNAへ移籍
育成3位:北之園隆生(秀岳館)※2016年限りで現役引退