大一番で快投!
DeNAの今永昇太が長いトンネルから脱出した。
9月24日に行われた阪神戦に先発した左腕は、6回2/3を投げて3安打無失点と快投。8月17日以来、約1カ月ぶり・自身5試合ぶりの勝利を掴んだ。
初めての2ケタ勝利を挙げてから4戦勝ちなしの2敗。9月7日のヤクルト戦では2回5失点で降板となるなど、苦しい投球が続いた。異変に気がついたのは10勝を挙げた後のことだったという。
上半身と下半身のバランスが悪く、思うような投球ができない。目の前の敵と戦いながらも、自分自身とも戦った。フォーム修正を繰り返しながら迎えた2位・阪神との大一番、チームにとって最も重要な試合で左腕は感覚を取り戻す。
ポイントは骨盤と腕の連携。普段から骨盤の動きに重点を置いて投げている今永。右足を上げた際に骨盤を一度立たせてから下半身の力を腕へと連動させるのが理想形だった。ところが不調時はその感覚を失い、頭で分かっていても体で表現することができずにもがいていた。
それがこの日は目の前の打者に無心で立ち向かっていく中で、右足を上げて骨盤を立たせる感覚を取り戻した。フォームがしっくり来たことで、より打者との対戦に集中することができる。少々時間は要したが、男は大一番の実戦の中で復活の糸口を掴んだのだ。
今永の“課題”とは…
2位・阪神との5連戦に先勝したDeNAは、2戦目もウィーランドの来日初完封で快勝。敵地・甲子園で2試合連続の完封勝ちを収め、1日空けて27日からは横浜で阪神との3連戦に挑む。
一時は巨人との3位争いの中で4位に転落したこともあったが、これで巨人とのゲーム差は「1.5」。2位・阪神との差も「3.5」と縮まってきており、目標は3位死守から2位浮上へと変わりつつある。
クライマックスシリーズの本拠地開催へ向けて機運も高まってきているが、そんな中で今永には不安なポイントがひとつ。今季はビジターで好成績を残している一方、ホームの横浜スタジアムでは苦しむシーンが多いという点だ。
【今永昇太・ホーム/ビジター成績】
ホーム :12試 4勝4敗 防御率4.72
ビジター:11試 7勝3敗 防御率1.74
今季11勝のうち実に7勝は敵地で挙げたもの。本拠地も4勝4敗となんとか五分ではあるが、防御率を見ればその差は歴然となっている。
苦しむ要因となっているのが被弾の多さで、敵地では73回2/3を投げて被本塁打が4本なのに対し、本拠地では68回2/3を投げて被本塁打が9本。本拠地のほうが投球回数が少ないにも関わらず、被弾の数は倍となっているのだ。
DeNAの残り7試合はすべてホームゲーム。今永はレギュラーシーズン最終登板で悪いイメージを払拭するような投球ができるだろうか。