球団1万号も「僕でよかったのかな」
「手応えは良かったんですけど…同時に『あ、やばいな』と思って」。
9月26日、東京ドームで行われた巨人-ヤクルトの一戦。お立ち台に上がった男は、喜びを噛み締めながらも複雑な心境を吐露した。
中井大介、プロ11年目を迎えた27歳が放った球団にとって節目の一発。ヤクルト先発・岩橋慶侍から放った今季第5号のソロは、巨人の球団通算10000本目の本塁打だった。
1936年に中島治康が放った第1号から81年で積み上げた大記録。中井は「すごく光栄なことではあるんですけど…少し複雑というか(笑)僕でよかったのかなっていう」とお立ち台で謙遜したが、ファンは笑顔で温かい拍手を贈った。
【巨人のメモリアル弾】
[ 1号 ] 中島治康(1936年)
[1000号] 土屋正孝(1956年)
[2000号] 王 貞治(1965年)
[3000号] 王 貞治(1972年)
[4000号] 柳田将宏(1978年)
[5000号] 槙原寛己(1985年)
[6000号] 駒田徳広(1992年)
[7000号] 二岡智宏(1999年)
[8000号] タフィ・ローズ(2004年)
[9000号] アレックス・ラミレス(2010年)
[10000号] 中井大介(2017年)
次なるメモリアル…
中井の本塁打は今季5本目で、プロ11年通算でも10本目。右の大砲候補として入団してから思うような成長曲線は描けなかったが、キャリア10本のうちの1本がお宝級の1本になったのだから“持ってる”と言っていいだろう。
思い返してみると、キャリアのスタートもそうだった。プロ2年目の2009年、9月11日の広島戦。小松剛からバックスクリーンに叩き込んだプロ初本塁打は、なんと『平成生まれ選手の初本塁打』。中田翔や丸佳浩といった同世代のスラッガーたちを抑え、プロ初アーチを歴史に残る形で記録している。
そんな“メモリアル男”に期待したい記録がある。それがあと19本に迫った『プロ野球通算10万号』だ。
1936年に藤井勇がランニング本塁打で記録した第1号から、2017年9月26日までに積み上げられた本塁打は9万9981本。果たして歴史に残る1本は誰が放つのか、大きな注目が集まっている。
なお、巨人の残り試合は「4」。しかも中井はレギュラーとは言えない立場であり、チャンスは多いとは言えないだろう。それでも、この男の運と勢いにはどこかで期待を抱いてしまう。
残りわずかとなった2017年シーズン。いつ、どこで、誰が10万号のメモリアルアーチを架けるのか。最後まで目が離せない。
【プロ野球のメモリアル弾】
[ 1号 ] 藤井 勇(タイガース/1936年)
[10000号] 渡辺 清(阪急/1957年)
[20000号] 井石礼司(東京/1966年)
[30000号] 基 満男(太平洋/1973年)
[40000号] バーニー・ウイリアムス(阪急/1979年)
[50000号] 仲根政裕(近鉄/1985年)
[60000号] 広永益隆(ダイエー/1990年)
[70000号] 駒田徳広(横浜/1997年)
[80000号] ロベルト・ペタジーニ(巨人/2003年)
[90000号] ディー・ブラウン(西武/2010年)