日本ハム・石井一成(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 新人遊撃手豊作の年

 プロ野球の2017年シーズンもいよいよ残りわずか。今季を振り返ってみると、両リーグで新人遊撃手の活躍が目立ったシーズンだった。

 中日の大卒ルーキー・京田陽太がここまで137試合に出場し、打率.270の大健闘。148本の安打を積み上げ、長嶋茂雄氏が持つ新人リーグ記録:153に迫っている。

 また、パ・リーグでは社会人出の源田壮亮がここまでの全140試合にフルイニング出場。こちらも151本の安打を記録しており、京田とともに“ミスター超え”への期待が高まる。

 両リーグの新人王争いをリードする2名に注目が集まるが、実はもう一人“ある記録”において上位にランクインしている新人遊撃手がいる。それが日本ハムの大卒ルーキー・石井一成だ。

 作新学院高から早稲田大を経て、ドラフト2位で入団した石井。今季序盤は二塁や三塁での出場も多かったが、正遊撃手の中島卓也が戦線離脱して以降は「9番・遊撃」で固定。ここまで110試合に出場を果たしている。

◆ “清原超え”を達成…

 実に3人ものルーキーが100試合以上に出場している2017年シーズン。安打数を争う京田と源田に対し、石井がランクインした記録が「三振」である。

【新人・シーズン三振数ランキング】
1位 121三振 福留孝介(中日/1999年)
2位 111三振 有藤通世(ロッテ/1969年)
2位 111三振 村田修一(横浜/2003年)
4位 110三振 石井一成(日本ハム/2017年)※残り4試合
5位 109三振 清原和博(西武/1986年)
5位 109三振 高山 俊(阪神/2016年)

 こちらが新人選手のシーズン三振数ランキング。石井は4試合を残して31年前の“怪物”・清原氏の109三振を更新し、第4位に浮上した。1位の福留までは差があるものの、2位の2人とは1個差。残り4試合で2三振喫すると、有藤氏を上回るパ・リーグ新記録となる。

 ただし、いくら新記録と言っても、本人としては“やってしまった”感の方が強いだろう。110試合の出場で343打席に立っている石井の110三振というと、ちょうど1試合に1つ・約3打席に1回三振をしてしまっている計算になる。決して名誉な記録とは言えない。

 
◆ 失敗は勲章!

 しかし、そのランキングの顔ぶれを見て欲しい。トップに君臨している福留といえば、後に首位打者に2度輝くなど球界屈指の打者へと成長。通算4度の打率3割超えを記録し、メジャーでも活躍を見せた。

 福留のほかにも2位の有藤氏、5位の清原氏はいずれも通算2000本安打を達成しており、2位タイの村田も10月2日現在で通算1865安打と大記録へ射程圏。全員が1年目の苦い経験を糧に、名選手へと成長を遂げていったのだ。石井や昨季の新人王・高山には、是非とも偉大な先輩たちに続いてもらいたい。

 三振の数が多いということは、それだけ出場機会を得ているということ。監督からの期待の裏返しでもある。記録だけ見れば“不名誉”だが、それが輝かしい未来に繋がる勲章だと信じて…。日本ハム・石井一成の飛躍に期待したい。

▼ 石井一成(日本ハム)
110試 率.196(301-59) 本3 点21 出塁率.266 長打率.259
二塁打6 三塁打2 塁打数78 盗塁3 盗塁刺5 犠打12 犠飛1
四球28 死球1 三振110 併殺打6

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