王者はショックの大きい連敗
パ・リーグのクライマックスシリーズ(以下CS)ファイナルステージは3位から勝ち上がった楽天が2連勝。優勝チームのアドバンテージを含めた対戦成績を2勝1敗とし、優位に立った。
シーズン94勝と圧巻の強さを誇り、2位の西武に13.5ゲームもの差をつけて優勝したソフトバンクだったが、わずか2試合で状況は一変。ピンチに陥っている。特に72試合で52勝20敗と驚異的な勝率を誇っていたホームゲームでの2連敗とあって、そのショックは大きい。
また、焦りや不安が連鎖するのもポストシーズンの特徴。まずはひとつ勝たないことには、プレッシャーが呪縛となって選手たちにのしかかってくる。果たして、ソフトバンクは強い姿を取り戻すことができるのか。ここからの大きな見どころとなる。
“要塞”の攻略法
この2試合は3-2・2-1とロースコアの展開に持ち込み、競り勝ってきた楽天。投手陣の踏ん張りと同じくらい重要な要素となっているのが、2試合とも『初回に先制している』という点である。
ソフトバンクが本拠地で強いというのは上述の通りだが、それよりも際立った強さを見せていたのが『先制』した試合。それが今季は83試合で73勝9敗。9割近い勝率を残しているのだ。他のパ・リーグ5球団と比較してみると、その数字がずば抜けていることがわかる。
【先制した試合の成績】
.890 ソフトバンク(82試=73勝9敗)
.743 西 武(76試=55勝19敗2分)
.740 楽 天(74試=54勝19敗1分)
.639 ロッテ(62試=39勝22敗1分)
.606 日本ハム(66試=40勝26敗)
.603 オリックス(69試=41勝27敗1分)
ちなみに、これをホームに限ると41試合で38勝3敗。勝率.927ということは、ホームで先制すればほとんど勝っていたということだ。
しかし、そんなソフトバンクでも、先制点を許した試合は21勝40敗と19の負け越し。勝率にして.344と一気に流れが悪くなる。要塞と化したヤフオクドームでソフトバンクを倒すには、先制して主導権を握ることが大きなカギとなるのだ。
真っ向勝負で形勢逆転に成功した楽天が一気に王者を飲み込むか、はたまた眠れる鷹が目を覚ますのか。試合のカギを握る“初回”の攻防から目が離せない。