◆ 2年連続で“高卒社会人”投手を1位指名
10月26日に行われたプロ野球のドラフト会議。オリックスは社会人No.1投手の呼び声高いJR東日本・田嶋大樹を西武との一騎打ちの末に獲得した。
これでオリックスは昨年の山岡泰輔につづいて、社会人の即戦力投手の獲得に成功。また、2年連続で“高卒社会人”の投手を補強したことになる。
高校生と大学・社会人の分離ドラフトが終わった2008年以降、オリックスの1位は3つのカテゴリーからまんべんなく指名してきた印象だったが、ここに来て社会人球界で高い評価を受けた即戦力投手を2年続けて指名。ローテーションの強化に努めている。
【2008年以降・オリックスのドラフト1位指名】
2008年:甲斐拓哉(東海第三高/投手)
2009年:古川秀一(日本文理大/投手)
2010年:後藤駿太(前橋商高/外野手)
2011年:安達了一(東芝/内野手)
2012年:松葉貴大(大体大/投手)
2013年:吉田一将(JR東日本/投手)
2014年:山崎福也(明治大/投手)
2015年:吉田正尚(青学大/外野手)
2016年:山岡泰輔(東京ガス/投手)
2017年:田嶋大樹(JR東日本/投手)
同じような指名戦略で結果を残しているチームが、DeNAだ。
2013年から柿田裕太(日本生命)、山崎康晃(亜細亜大)、今永昇太(駒沢大)、浜口遥大(神奈川大)と4年連続で大学・社会人球界の即戦力投手を指名。柿田は今季終了後に戦力外となってしまったが、2014年以降の3名は主力として活躍している。さらに、今年のドラフトでは東克樹(立命館大)を指名。より強固なローテーションを形成すべく、大学球界屈指の好左腕を1本釣りした。
オリックスも大黒柱の金子千尋とディクソンという2本の柱に加え、2ケタ勝利を4度挙げた実績をもつ西勇輝と有力な3枚が揃っているだけに、ルーキーイヤーの今季8勝(11敗)を挙げた山岡とルーキーの田嶋がここに加わってくれば、一気に上位進出も見えてくるだろう。
◆ 実は成功例の少ない高卒社会人投手
また、田嶋には“ジンクスの払拭”への期待もかかる。というのも、近年はドラフト1位指名を受けた高卒社会人投手が軒並み苦しんできたのだ。
【2008年以降・ドラフト1位で入団した高卒社会人投手】
2008年:木村雄太(ロッテ)
2009年:なし
2010年:なし
2011年:なし
2012年:なし
2013年:加治屋連(ソフトバンク)、柿田裕太(DeNA)
2014年:横山雄哉(阪神)、野村亮介(中日)
2015年:なし
2016年:山岡泰輔(オリックス)
2017年:田嶋大樹(オリックス)
上述の選手たちの中で、今季開幕前までに一軍勝利を挙げていたのは木村雄太(※2013年以降の登録名は木村優太)と横山雄哉だけ。それも木村が1勝で横山も2勝という壊滅的な状況だった。
ところが、山岡は1年目からローテーション入りして8勝をマーク。田嶋も山岡に続く活躍を見せ、『ドラフト1位の高卒社会人は大成しない』というジンクスを過去のものとすることができるか。注目が集まる。