大谷は何処へ!?
日本ハムは10日、大谷翔平のポスティングシステムを利用したメジャー挑戦を容認。翌11日には大谷が会見を開き、メジャー挑戦の意向を正式に表明した。
現行のポスティングシステムは、所属球団の設定した譲渡金(上限は2000万ドル・約23億円)を支払う意思のある全球団と交渉可能となっている。ただし23歳の大谷は、メジャーリーグ機構と選手会の間で昨オフに合意した労使協定で定められた、25歳未満のドラフト対象外の外国人選手に当たるため、マイナー契約からのスタート。さらに、契約金の額も収益の多寡によって各球団に上限が設けられており、同システムを利用した過去の例のような巨額契約は不可能となっている。
そのため、多くの球団が獲得に乗り出すことが予想され、米各メディアは地元チームが大谷を必要とする理由などを取り上げ、次のように報じている。
ダル+松井=大谷!?
メッツとヤンキースの2球団が存在するニューヨークのABCテレビ公式サイトは、「大谷をダルビッシュ有と松井秀喜を合わせた選手だと考えてみればいい。1つ買ってもう1つ(タダで)ついてくるような大谷のような選手に対し、メジャーリーグの球団はどれくらいの額を申し入れるのだろうか…。実際のところは、(労使協定があるため)それほど大きな金額はかからない」と大谷の契約状況を説明しつつ、1人で投・打2人分の働きができる“お買い得な選手”であることを強調した。
そして、「メッツにとって二刀流の大谷は故障者続出の先発ローテーションに厚みをもたしてくれるだけでなく、打撃における穴も埋めてくれる存在。残念な結果に終わった2017年シーズンのあと、メッツはチームの立て直しを目指しており、大谷は将来有望な若手アメド・ロザリオやドミニク・スミスと共にそのプロセスを活性化する力となるだろう」と、まずはメッツにおける大谷の必要性を挙げた。
しかし、「多くの理由で」ヤンキースになる可能性が高いとし、「外国人選手との契約余剰金がレンジャーズに続いて2番目に多い325万ドル(約3億7000万円)」あること、「ヤンキースは金もあり宣伝広告契約も取りやすい。また田中将大が大谷のメジャーへの移行を助けてくれるだろう」という理由で、ヤンキースは「本命とまでは言わなくとも、最有力候補」とした。さらに「大谷はヤンキースで先発ローテーションを助けるだけでなく、投げない日はDHや外野手としてプレーすることになるだろう」との見通しを述べている。
レンジャーズやドジャースも…
外国人選手との契約余剰金が353万5000ドル(約4億円)とトップのレンジャーズの地元紙ダラス・モーニング・ニュースは、地元ラジオでのスポーツ・アナウンサーと視聴者のレンジャーズに関する質疑応答を掲載。「レンジャーズは4~5人の先発投手が必要なのに、どうして大谷にばかり目を向けているのか」との質問に「レンジャーズにはエースがいない。大谷はエースとして評価されている。MLBのプレーオフを勝ち抜き、優勝するためにはピッチングが不可欠だ」との返答を一番に載せた。
フィラデルフィアのテレビ局NBCスポーツは、「大谷は、フィリーズがチーム作りの中心になって欲しいと望むような若手選手」とした。しかし「フィリーズには、外国人選手との契約の余剰金が100万ドル(約1億1360万円)しかない。また大谷は日本人(投手)が所属した経歴があり、すぐに優勝できるようなチームを選ぶだろう。彼が選ぶチームがフィリーズであるとは考え難い」と悲観的な見方を示している。
ロサンゼルス・タイムズ紙は「ドジャースは大谷を念頭に入れながらGMミーティングに向かう」と、日本時間14日(米時間13日)から始まるゼネラルマネジャー(GM)会議を前にした記事を掲載。同記事では、「ドジャースはレンジャーズ、ヤンキース、そして実際、他のすべての球団と同様、大谷の獲得に乗り出す予定」とした。
また同紙はフリーエージェントになったダルビッシュ有投手のことにも触れ、「ワールドシリーズでの2度の失敗のあと、ダルビッシュ有はチーム残留の希望を明らかにしたが、それを実現させるには相場以下の契約を受け入れなくてはならない。なぜなら(アンドリュー)フリードマン(編成本部長)は先発投手と1億ドル(約113億6360万円)の契約を結ぶことに興味を示していないからだ」と主張している。
文=山脇明子(やまわき・あきこ)