◆ 自由契約から完全復活!
球団ワースト記録となる96敗(45勝2分け)を喫した2017年のヤクルト。来季は4年ぶりに復帰する小川淳司監督を筆頭に、チームOBでもある宮本慎也ヘッドコーチ、広島に37年ぶりの連覇をもたらした石井琢朗打撃コーチと河田雄祐外野守備走塁コーチを加えるなど、選手だけではなく首脳陣の入れ替えも目立っている。
チームは今季も畠山和洋、雄平、川端慎吾ら主力に故障者が相次ぎ、3年連続トリプルスリーを目指した山田哲人は打率.247、24本塁打、14盗塁の成績に終わった。チーム打率(.234)、本塁打数(95本)、得点数(473点)はいずれもリーグ最低。チーム防御率も同6位の4.21と、投打とも精彩を欠いた。
主力不在のなか若手の台頭も乏しく、ハイペースで黒星を重ねる日々。そんな中、数少ない光明として奮闘していたのが、加入2年目の坂口智隆だった。
2015年オフにオリックスを自由契約となった外野手だが、新天地で打棒が復活。2016年は155安打を放ち、打率.295、出塁率.375をマーク。今季もチームが低迷するなか打率.290、出塁率.364を記録し、安打数は2年連続で155本に達した。
9月30日の中日戦(神宮)では、勝ち越し打を含む3安打3打点の大活躍。これが結果的に2017年最後の勝利となり、お立ち台に上がった坂口は、「辛い思いばかりさせてしまって…」とファンに陳謝。それでも残り試合の抱負を問われると、「ひとつでもチームの役に立てればいいと思いながら、一戦一戦、勝ちにつながるプレーをしたい」と前を向いた。
オリックスでは故障もあり、自由契約の身でヤクルトへ加入した背番号42。スピードこそ衰えたが、打撃センスは健在であることを見事に証明した。
改めて、環境変化が再起への一手であることを示したヤクルトのバットマン。その復活劇は、この時期に移籍先を模索する選手たちの励みとなるはずだ。