守護神の穴は守護神で埋める
オリックスは30日、フリーエージェントとなっていた増井浩俊の獲得を発表。背番号は「17」に決定した。
静岡高から駒沢大へ進み、社会人・東芝を経て2009年のドラフト5位でプロ入りした増井。2年目からリリーフとして56試合に登板を果たすと、3年目には自己最多73試合に登板。2011年から2015年まで5年連続で50試合以上に登板し、2012年には最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得している。
2014年からはストッパーを務め、2015年には39セーブを挙げるなど守護神として君臨。しかし、昨季は開幕直後からの不調もあって、シーズン途中から先発に転向するという異例の事態に。それでも2ケタ・10勝を挙げてチームの大逆転優勝に貢献し、日本一の原動力となるなど新境地を見せた。
今季は再びリリーフに戻り、ストッパーとして27セーブを記録。そしてプロ8年目のシーズンを終えたこのオフ、FA権の行使を決断した。
平野→増井でどう変わる?
オリックスは今オフ、守護神の平野佳寿が海外FA権の行使を宣言。かねてから希望していたメジャー挑戦を表明した。増井獲得はその穴を埋めるための補強となる。
ともにストッパーとして素晴らしい実績を残している2人だが、ファンから“劇場型”と呼ばれるような不安定な面を持っているのも事実。2人を今季の成績で比較してみよう。
【平野と増井の今季成績比較】
・成績=(平野/増井)
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・登板数 = 58 / 52
・勝 利 = 3 / 6
・敗 戦 = 7 / 1
・セーブ = 29 / 27
・ホールド= 8 / 7
・投球回数= 57.1 / 52.2
・被安打 = 57 / 47
・被本塁打= 5 / 6
・与四球 = 16 / 11
・与死球 = 1 / 0
・奪三振 = 47 / 82
・暴 投 = 2 / 5
・失 点 = 19 / 15
・自責点 = 17 / 14
・防御率 = 3.10 / 2.70
・被打率 = .266 / .235
・WHIP = 1.27 / 1.10
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大きく違うのが奪三振の部分。平野はキャリアで2番目に少ない47奪三振に終わったのに対し、増井はイニング数を大幅に上回る82奪三振を記録。これはシーズン途中で先発に回った昨年をも上回るキャリア最高の数字であった。絶体絶命のピンチでの登板も考えられるストッパーにとって、最も安全な形でアウトが取れる三振が多いというのは心強いことこの上ない。
また、四死球も平野が17個に対し、増井は11個。被打率も増井の方が低く、それがWHIP(1投球回あたり何人の走者を出したかを表す指標)にも表れている。三振が多く取れ、無駄な走者は少ない。今季の成績で見れば、増井の方が安心して見ることができると言えそうだ。
オリックスは今季2年目の近藤大亮とルーキーの黒木優太が55試合に登板。リリーフ陣に若き力が台頭してきたなか、平野が抜けたとしても新たに柱となる存在がやってきたのは大きなプラスとなる。
前年の最下位から、今季は4位まで浮上した。Aクラスまではあと一歩。新・方程式を武器に、オリックスが逆襲を狙う。