若き力が躍動
セ・リーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち上がり、19年ぶりとなる日本シリーズ進出を果たしたDeNA。一度乗せると止まらないその勢いは、ポストシーズンの戦いを大いに盛り上げた。
若き力が光るチームの中で、注目を集めたのは左腕たちの活躍だ。チームの勝ち頭・今永昇太はプロ2年目の24歳。助っ人のウィーランドとともに2ケタ・10勝を挙げた浜口遥大は23歳の大卒ルーキーで、故障に苦しみ6勝に留まったエース候補の石田健大も大卒3年目の24歳である。
この秋のドラフト会議では、大学No.1左腕の呼び声高い立命館大・東克樹の単独指名に成功。早くも大卒左腕カルテットによる『若手左腕王国』への期待も高まっているが、そのなかで“高卒右腕”も負けじと存在感を放った。
2014年のドラフト7位で入団した飯塚悟史は、プロ3年目にして一軍デビューのチャンスを掴み、プロ初勝利をマーク。9試合の登板で1勝3敗と負け越したものの、まずはプロとしての第一歩を踏み出している。
プロ2年目の綾部翔も、シーズン終盤に訪れたデビュー戦で5回無失点の好投。見事に初登板・初勝利を挙げ、来季以降の楽しみを作った。
井納翔一とウィーランドに次ぐ先発右腕として、この2人にかける期待は大きい。大卒・社会人の即戦力補強が奏功してきたチームの中で、高卒でのプロ入りからついに芽を出そうとしている右腕に注目だ。
野手もスゴイ!
若き力が目立っているのは、投手だけではない。シーズン終盤に一軍デビューを果たしたドラフト5位ルーキーの細川成也は、プロ初打席・初スイングで横浜スタジアムのバックスクリーンへと放り込む離れ業を披露。さらにその翌日の試合でも本塁打を放つなど、鮮烈なインパクトを残した。
勢いそのままにポストシーズンでも切り札としてベンチ入りを果たすと、クライマックスシリーズや日本シリーズでも安打を放つなど、大舞台でもその力を発揮。高卒1年目ながら大物ぶりを存分に見せつけ、来季への期待をふくらませる姿を見せた。
また、一軍ではないものの、多くの経験を積んだ高卒ルーキーが松尾大河である。
秀岳館高からドラフト3位で入団した期待の内野手は、二軍で細川(114試合)に次ぐ102試合に出場。打率は.185(298-55)とプロの壁に苦しんだものの、メインの遊撃で98試合に出場したほか、二塁で4試合、三塁も1試合をこなすなどマルチな才能を発揮。新たな可能性を拡げている。
チームはFAで大和を獲得したこともあり、松尾にとって早期デビューに向けてという点では高い壁となるものの、裏を返せばそれだけじっくりと時間をかけて育てる余裕ができたということ。打撃面の向上を図りながら、ゆくゆくは大和や倉本寿彦からポジションを奪うような成長に期待がかかる。
アレックス・ラミレス監督の就任から2年連続でクライマックスシリーズ進出を果たし、今年は19年ぶりに日本シリーズへと進出した。あとはリーグ制覇と、日本一奪還を目指すのみ。高卒組の成長がもたらすプラスアルファが、チームが目指す“あと一歩”への原動力となる。