さかのぼること2年前のドラフト会議。
高山俊、上原健太、坂本誠志郎といった明治大学のチームメイトが指名される中、同じくドラフト上位候補だった六大学通算二塁打記録を作った4番・菅野剛士の名前は呼ばれなかった。
「僕だけ指名されなかったので、単純に悔しい思いをしました」(菅野)
プロの球団から指名がなかった菅野は社会人の道に進んだ。日立製作所に入社した菅野は「大学の時より守備、走塁に費やす時間が単純に増えました」と守備、走塁に力を入れ、「この2年間で一番成長したかなと思います」と手応えを掴む。
打撃でも「社会人野球は一発勝負ですので、チームのことを優先できるというか、試合で使える技術であったり、勝負強さを磨けたかなと思います」と1年目から4番・ライトに座り、2016夏に行われた都市対抗では全5試合4番打者で出場。打率.278、3打点の活躍を見せ、若獅子賞を受賞した。秋の日本選手権でもヒットを放つなど、大学時代のチームメイト高山俊が新人王に輝く裏で、菅野も社会人1年目でしっかりと結果を残した。
社会人2年目も「1打席、1打席全てがアピールだと思うので、1打席、1打席を大切にできたかなと思います」と、得意の打撃でアピールを続けた。
ついにこの瞬間が訪れる。今年10月に行われたドラフト会議でドラフト4位指名を受けた。
「指名された瞬間はホッとしました」。
2年越しでドラフトに指名された菅野。だが、プロでの戦いはここからがスタートだ。ロッテの外野陣は荻野貴司、伊志嶺翔大、加藤翔平、岡田幸文、清田育宏などライバルが多い。一軍の舞台に行くためにもバットでアピールすることが求められる。菅野は「広角に打てる長打力をアピールしていきたいと思います」と力強く語った。