◆ 花咲徳栄で甲子園V
西武は7日、新入団選手の発表会を開催。ドラフトで指名した8名の新入団選手をファンにお披露目した。
この日、ファンの間で話題になったのがドラフト2位の西川愛也だ。花咲徳栄高の中心選手として夏の甲子園優勝に貢献。「3番・左翼」で全試合に出場し、大会通算27打数9安打で10打点の大暴れ。埼玉県に初めて深紅の優勝旗をもたらす原動力となったことは記憶に新しい。
今回のイベントでも、名前を呼ばれた際にはひときわ大きな歓声が上がったように、地元のスターとあってファンの期待もすでに大きい。しかし、その大きな歓声の中にはどよめきも混じっていた。というのも、プロフィールが映し出されたビジョンに『内野手』の文字があったからだ。
◆ ケガを抱えながら…
西川といえば、2年時から名門校で左翼のレギュラーを掴み、ドラフト会議でも西武の2位指名は「西川愛也・外野手・花咲徳栄高」とアナウンスされている。にも関わらず、真新しい51番のユニフォームを着た“埼玉西武ライオンズの西川愛也”は内野手としてファンの前に立っていた。
これには報道陣からもすぐに質問が飛んだ。発表会後に取材に応じた辻発彦監督は「そうですね」と間違いではないことを認め、「ウチは外野の層が厚いですから。過去には内野の経験もあるということでね。何と言ってもまだ18歳ですから。何でも挑戦する価値はあると思っています」とコメント。無限の可能性に期待を寄せる。
調べてみると、高校でも1年時は内野手として登録されていた西川。転機となったのが、2年夏前に負った大胸筋断裂のケガだった。これ以降、西川はポジションを左翼へと移し、そのケガと付き合いながらのプレーを強いられるようになる。
打撃センスは高校生でも屈指の高評価。大ケガによる不安を抱えながらも、そんなことは微塵も感じさせない結果を残し続けた。しかし、ちゃんと投げられるようになるのかは分からない…。これがドラフト前の各球団を大いに悩ませた。それでも、西武は2巡目という上位で迷わずに指名。地元のスターの獲得に成功した。
◆ 現状は「5~6割くらい」
新しいユニフォームを身にまとい、「入団したという実感がわいてきた」と語った西川。自身のウリについては「バットコントロールと、足を活かした走塁」としたものの、「それだけではダメだと思う。守備もしっかり鍛えていかないといけない」と気がつけば課題の方を挙げていた。
今後については、「まずはプロで戦っていける体を作ること」が大目標。「肩のケガがまだ完治していないので、リハビリをしっかりしながら自主トレに向けて準備していきたい」と、冷静に現状を見つめている。
ケガの具合は「5~6割くらい」。焦らず、一歩一歩着実に…。年明けの新人合同自主トレか、その先に待つ春季キャンプか、はたまた来シーズンの途中か。背番号51がグラウンド上で躍動する姿を楽しみに待ちたい。